・ラバーダムについて

ラバー(rubber)はゴムを意味していることはほとんどの人が知っていると思います。 ではダム(dam)はどうでしょう? よく聞くダムと言えば水を貯めておくダムです。 ダムは水をせき止めています。 ではラバーダムは? ゴムでせき止めているのです。患部への細菌の流入を。 ラバーダムとはゴムでせき止めるものという意味なのです。 言葉が持つ意味通りならば治療に必要です。

・根管治療の成功率をあげる

施術者の技術や経験はもちろんですが、使う器具によっても成功率は変化します。 その最たるものがラバーダムです。 ラバーダムを使う使わないが根管治療の成功率に影響を及ぼします。

・素材、使われ方

ラバーダムはゴム製のマスクです。 患部の歯以外を全て覆い、治療中にぽっかり開いている根まで通じている穴に唾液(ものすごい多くの細菌、むし歯菌を含む)が入らないようにするための道具になります。折角キレイに感染源を除いたとしても、新しく菌が入ってきてしまうのでは意味がありません。ですのでラバーダムをしているかいないかで成功率は異なってきます。

・保険で利用できるラバーダム

今現在ではラバーダムは保険適用から外れています。当然保険の適用から外れているということは使用するのであれば自費診療になります。 政府の保険と自費の混合診療を防ぐ政策により、自費を利用した場合は保険で診療する部分も全て自費扱いになるという原則からするとラバーダムの使用はそのまま全ての治療が自費になることを意味していました。 しかし、保険でラバーダムが利用できないかと言うとそうではありません。保険の包括利用ということで行っている医院さんはあります。ただし、それでも採算性が低いので、歯科医院としては正直使うメリットが少ないのです。 もし、保険でラバーダムを使っている医院があるとしたら相当良心的な医院です。

・自費利用の根管治療しか使えない

今の歯科医院は保険に見切りをつけるところが増えています、保険診療もやっているけど自費を伸ばしたいというのが多くの歯科医院の本音として存在しており、歯科医院の経営として安定しているところの多くは自費の需要が高いのです。今後保険が圧迫されるとラバーダムは完全に自費専用となり、ラバーダムの有用性をHPなどで大きくアピールできる医院に自然と患者が集まり、その他は淘汰されていくでしょう。その結果二極化が進むのは間違いありません。歯科だけでなく、医療の世界は身内が多く、医師の9割は身内で固まっています。多くの医院は地域に地盤を持っており、町のお医者さんとして地域に根ざしていました。顔見知りの患者が多く、医師は患者に感謝される存在として親しまれていました。そんな親を見て育っていた子供が2世3世として町のお医者さんを目指すことが多かったのですが、医療費の圧迫は医院の経営に大きなダメージを与えており、町のお医者さんの存在を許さない状況を作り出してしまいました。駅前などの大規模な医院やインターネットの発達もそれを支える形となり、富めるものに富が集中する形となり、保険を中心としてきた医院は次々と姿を消しています。 こういった現状があるという中で歯科医院を探さなければならないのです。 もしかかりつけの医院があるのならば、その医院がどういう経営なのかを気にしてみてもいいかもしれません。

 

ラバーダムは全ての治療に使った方が良い

保険適用ではなくなったために、ラバーダムはほとんどの医院で出番が少なくなりました。

神経まで到達していないむし歯の治療は目視で見えるため一度で歯を削り詰めてしまいます。

この過程でむし歯菌が患部に入らないことが重要になります。

歯の表面、エナメル質は硬く、むし歯菌が多少ついたとしてもすぐにむし歯が進むことはありません。

しかし、歯の内部になると表面ほど硬さはなく、歯の神経部分まで行くと表面に比べ柔らかくなってしまいます。

通常歯の内部は表面の固い歯に守られているのでここが直接むし歯菌に侵されることはありません。

ただ、治療をするために歯に穴を開けると内部までむし歯菌が浸透する可能性があります。

例えば治療の途中、舌で患部がどうなっているのか確認するために触ってみるということをするとむし歯菌を削って患部を綺麗にしたのに菌が残ってしま

い患部を詰めてしまうと歯の中の菌に対する耐性よりもむし歯菌の活動力の方が高い場合はむし歯が発生してしまいます。

これがラバーダムを使った場合だと、患部以外を全てゴムで覆ってしまうのでだ液などが患部に入る余地が無いので、むし歯が再発するリスクは下がりま

す。

通常の治療でラバーダムを使わないのは、使わなくとも内部でむし歯菌が増殖する可能性が低いためです。

神経を抜いた歯にかんしては、髄液に含まれる白血球などの菌に対する免疫が働かなくなるので、むし歯菌が混入すると増殖してしまうリスクが高くな

るのです。

なので、根管治療に関しては特に注意を払ってむし歯菌が混入しないようにラバーダムを使うべきだといわれています。

もちろん、むし歯菌を削った後に歯の中を殺菌してから詰め物を入れていくのですが、再発の可能性をさげるという観点からは間違いなくラバーダム

必要といえます。

ちなみに、アメリカの根管治療ではラバーダムを使わないと訴えられて敗訴することもあります。

それくらいラバーダムは重要といえるのです。

 

歯科大学では使うように習っていないのか?

ラバーダムが大事ならなぜ使うようにしないのか、必要性を知った患者さんが浮べる疑問としては当然です。

ひょっとしたら大学で勉強してこなかったのでは?

国が保険適用から外そうとしたということは、大学でも教えていないんじゃ?

そういった考えを持ってしまってもしかたないと思います。

教育の現場ではしっかりとラバーダムの重要性と必要性を教えています。

しかしながら、実際歯科医師として歯科医院に勤務した時に、ラバーダムを現場で使っているかどうかは医院によります。

独立開業する歯科医師の先生方は、自分が勤務した医院のやり方を継承していく傾向があります。

というよりも、それしかやり方を知らないといったほうが正しいです。

つまり、独立するまでにラバーダムをそれなりに使用する環境の職場に勤めていないと、重要性を知りつつも使わないのが当たり前になってしまうの

で、結局自分が医院を開いても使わないという状態になってしまうのです。

 

根管治療にしか使わない現状

上記の状態にあるため、ラバーダムを使った治療の経験が不足していると使うことへの抵抗感もあり意識から除外されます。

しかし、根管治療ともなってくると、成功率の低さから失敗しないようにラバーダムに意識が向かうようになります。

ほとんどの患者さんは保険で治療をするし、ラバーダムの必要性どころか存在すら知らないので使わずに根管治療をされたとしても気づきません。

医院側もひょっとしたら使うかどうか聞くかもしれませんが積極的には勧めないかもしれません。

そうすると自費治療を推し進めている医院ばかりがラバーダムの経験が高まるという一極集中状態になってしまいます。

保険料が上がっていくにしたがって自費の割合も増える可能性がありますが、まだまだ患者さんは保険に頼っています。

その中で歯科医院がどれだけ患者さんの希望にあわせて治療をしていけるか、というところにかかってくるのだと思います。

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