根管治療が必要なケースをMTAで神経保護
MTAセメントについて、価格とパーフォレーションを防ぐ目的で少し前に書かせていただきました。
前回書いた時は根管治療を行う際に、歯髄の下の面から穿孔が生じていた場合にMTAを使うことで成功率を高めるという内容でした。
今回はむし歯が神経まで達しており、本来根管治療が必要であっても、MTAを使うことで通常の虫歯と同じように施術する方法のご紹介です。
むし歯が神経まで達するとなぜ根管治療になってしまうのか?
神経まで到達したむし歯は、歯髄を一部侵している状態なのでこれを取り除かないと、どんどん神経全体に患部が広がっていきます。
なので、この侵された部分だけを取り除くのが普通の治療でしたが、神経まで達していた場合、そこを除いて穴を塞ぐことができませんでした。
正確にはセメントで塞ぐことはできたのですが、象牙質と異なり歯髄は組織液などを含んでいるため固まりにくい難点がありました。
歯髄をセメントで塞いだとしても、そこが上手く固まらないとむし歯菌が入り込み症状を悪化させてしまう悲劇が起こるのです。
そのことがあらかじめ分かっているので、むし歯が歯髄まで行っていたら神経を抜く処置になっていたのです。
MTAセメントは水分があってもしっかり固まる
通常のセメントは水分を混ぜると凝固性が薄まりドロドロになってしまいます。
昔の手抜き工事、欠陥住宅など問題になりましたが、コンクリートの成分が薄いと耐震能力が低くなります。
歯髄が露出した際に普通に塞ごうとすると、組織液によって成分が薄まり要を成さなくなります。
しかし、MTAセメントならば組織液によって薄まることなくしっかりと歯髄を保護することができるのです。
MTAは成功率を高めるが、失敗する時はする
どの歯科医師も歯髄の保存ができるように最善を尽くしますが、経過が悪いこともあります。
歯髄部分にむし歯が残っていた。
歯髄を塞ぐ部分に隙間があり、そこからむし歯菌が流入した。
こういった理由で症状が発生してしまいます。
できるだけ削らないことを意識しすぎる余り、むし歯を残してしまうという本末転倒が起こる場合もあります。
今はマイクロスコープによってむし歯を確認しながら削ることができるようになったので、成功率は上昇しています。
またラバーダムも当然使っているはずです。
しかし、100%の実績が出るわけではないので、どうせ抜髄するくらいなら一縷望みを託すつもりで望むのがいいでしょう。
予想よりむし歯が広がっていたら結局抜髄処置になってしまうので、根管治療が必要になります。
blog here | 2015.03.06 15:35
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