成功率は虫歯の治療で最も低い
多くの人が気になるところは
きちんと虫歯が治ったのか?
これに尽きると思います。
先生に
『じゃあ今回で終わりです』
と仰られると治癒したと思い込んでいる人が多いです。
実際一度虫歯が進むと治るということはなく、削って埋めただけなので治っているわけではありません。
後はそこからいかに悪くしないかという勝負になります。
ただ、根管治療に関しては様々な理由で症状が再発することがあります。
この再発がどの程度の期間で起こるかによって施術が成功か失敗かに分かれます。
成功率の程度を示すのに少し海外の事情を引用します。
多くの方が根管治療を日本で受けると思いますが、中には海外で暮らす方もいらっしゃると思います。
日本にいる方にとってはピンと来ないかもしれません。
しかし、最新の歯科医療の多くは海外からもたらされます。
海外の歯科治療を知っておくことは、日本で治療を受ける際にも比較対象として役に立ちます。
海外に比べて日本の歯科医療とりわけ根管治療がどうなのかを知っておくことは重要なのです。
そこで気になる日本とアメリカの根管治療の成功率を対比してみました。
成功率 日本の根管治療の場合
日本で症状が再発しないケースは約50%とも言われています。
もろもろのケースをひと括りにしても個人の歯の形、症状の軽重によって処置の方法や難易度はまったく別物になります。
また、保険と自費での治療によっても変わってきます。
これらの要素を全てひっくるめておおよそ50%という値になっています。
日本の基本的な根管治療の成功率
約60%~80%
複雑・根尖根管治療の場合
約30%~60%
再根管治療
30%以下
例えば日帰りの出来る白内障の手術といった失敗することが稀という施術に比べ遥かに成功率が低いです。
この事実をほとんどの患者さんが知りません。
歯科医師の先生も、根管治療の成功率は低いことを患者さんにしっかりと伝えないことが多いです。
術後に悪くなるという可能性を示唆するくらいか、症状が再発することがあります。
という簡単な注意で終わらせることが多いのです。
これは術前にわざわざ患者さんを心配させるのは良くないという心理が働くからです。
患者さんによってはこういったことを事前に聞きたくない人もいらっしゃるでしょうし、
逆に聞いておきたいという人もいます。
このあたりを見極めることが歯科医師に求められるのでしょうが、セラピストでもないと難しいところです。
日本では上記のような割合で施術が成功しています。
では歯科医療先進国と言われる国ではどうなのか?
比較する形で見てみましょう。
成功率 アメリカ(欧米)の場合
それでは気になるアメリカでの数値です。
基本的な根管治療の成功率
なんと90%以上!
病巣などがある複雑なケース
約80%
再根管治療
約70%
症状の酷い再根管治療
約50%
ちなみに症状が酷い場合の再根管治療を日本で行うと、成功率は10%に満たないという恐ろしい状況です。
簡単なケースに関してはほぼ失敗しない形になっているようです。
稀に失敗してしまうこともあるようですが、やはり日本より術後が良い傾向にあるようです。
もちろんアメリカといえども根尖病巣の治療や再根管治療は難易度が高い扱いですが、日本と比べ圧倒的に成功率が違いま
す。
日本とアメリカの違い
アメリカの歯科治療は専門医が各々の分野の治療します。日本では多くの場合一人の先生、院長先生が全ての治療を行わざるを得ない状況があり、得手不得手に関係なく治療します。
大学病院や、資本力の高い歯科医院など、複数の医師を常勤として招いているような医院においてはそれぞれの専門性を高め
た治療を行うことができますが、7万件も歯科医院が乱立しているような状態ではそれぞれの専門の治療だけを行うシステムを確
立することは難しいと言えます。
保険と自費による治療期間の制限による成功率の違い
根管治療においては保険での治療の回数に限度があり、少ない回数、時間で治療を終わらせなければなりません。使えば成功率があがると大学で教わる器具ですら保険の制約で使えないのです。(治療回数も増やせるし、器具も使えるのですが、経営的に赤字)
結果として日本の保険による根管治療の達成値は低い数値を推移してきたのです。
もちろん、アメリカでは医師が専門の器具を使って費用をかけて治療するからこその値であり、日本と差が出るのは当然の結果です。逆に言えば、アメリカの歯科治療は総じて自費であるから貧困層は費用を捻出できず治療を受けることができません。経済状況によらずある程度の額で治療が受けられるという意味では成功率が低くとも日本が誇れる部分はあります。
まとめてみると、日本の歯科医療は国民のほぼ過半数が治療を受けるので、治療をする側も受ける側も医院によって状況がまっ
たく異なるという状態です。
そうであっても、歯科医院側の努力でなんとか全般的に水準を保っているという状態です。
全体の福利厚生という面で見た場合高い水準であると考えられます。
アメリカの場合は、保険制度がないので基本的に医療費はどうしても高額になります。
日本も保険制度で現行3割の支払いで済んでいますが、この3割も実際は元の医療費を低く抑えた金額を3割にしているので
す。
実は保険が効かない場合は医療費は3割負担の人だと単純に3.3倍になるのではなく、更に高額になるのです。
話が少し逸れましたが、アメリカの医療費は高いので生活に困窮している人や、払うだけの猶予はあるけども治療にお金をかけ
てしまうとその他にお金がかけられないのでパスしている。そういった人達が多いのです。
なので、歯科治療を受ける人達は、ある程度金銭に余裕があり高度な歯科医療を受けることが当たり前という人達が多いので
す。
この差が成功率の違いの大きな要因となっているのです。
日本も少しずつ医療費が増えていき、健康保険の負担も保険費用も増加しています。
元々1割だったものが90年代に2割、00年代に3割と増加してきました。
更に現在では高齢者の負担割合を3割に引き上げようという動きがあります。
そうなると次の動きは高齢者だけでなく若い人も負担をするべきだ、という世論にもっていこうと政治が考えるのは当然です。
むしろ、そういって保険負担を増加させるために高齢者の負担を上げるわけです。
こうなってくると保険の負担割合は4割、5割までは増加します。
これが正しく高度な歯科医療の実現に費やされるのであれば、日本の成功率も上昇していくのでしょうが、先行きは不透明です。
家計に余裕がある世帯ばかりではないでしょうが、今後は保険だけでなく、自費診療を行うと体や歯にどういう影響があって、そ
れがのちの健康にどういう効果を及ぼすのかまで考えて治療の方法を選択しなければならないのです。
そのためには、少しでも医療に関心を向け、どういった医療制度や方法があるのか情報収集しなければなりません。
まずは、このサイトをご覧になっている状態から、色々なサイトに目を凝らし情報を比較しておおよその概要を掴むことです。
その上で自分の症例に当てはめて、専門家に相談するというのが一番良い道でしょう。
相談をするためにも是非様々な知識を集めましょう。
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