直接覆髄治療法 MTAによる歯髄保存治療

2014-11-10

根管治療が必要なケースをMTAで神経保護

MTAセメントについて、価格とパーフォレーションを防ぐ目的で少し前に書かせていただきました。

前回書いた時は根管治療を行う際に、歯髄の下の面から穿孔が生じていた場合にMTAを使うことで成功率を高めるという内容でした。

今回はむし歯が神経まで達しており、本来根管治療が必要であっても、MTAを使うことで通常の虫歯と同じように施術する方法のご紹介です。

 

むし歯が神経まで達するとなぜ根管治療になってしまうのか?

神経まで到達したむし歯は、歯髄を一部侵している状態なのでこれを取り除かないと、どんどん神経全体に患部が広がっていきます。

なので、この侵された部分だけを取り除くのが普通の治療でしたが、神経まで達していた場合、そこを除いて穴を塞ぐことができませんでした。

正確にはセメントで塞ぐことはできたのですが、象牙質と異なり歯髄は組織液などを含んでいるため固まりにくい難点がありました。

歯髄をセメントで塞いだとしても、そこが上手く固まらないとむし歯菌が入り込み症状を悪化させてしまう悲劇が起こるのです。

そのことがあらかじめ分かっているので、むし歯が歯髄まで行っていたら神経を抜く処置になっていたのです。

 

MTAセメントは水分があってもしっかり固まる

通常のセメントは水分を混ぜると凝固性が薄まりドロドロになってしまいます。

昔の手抜き工事、欠陥住宅など問題になりましたが、コンクリートの成分が薄いと耐震能力が低くなります。

歯髄が露出した際に普通に塞ごうとすると、組織液によって成分が薄まり要を成さなくなります。

しかし、MTAセメントならば組織液によって薄まることなくしっかりと歯髄を保護することができるのです。

 

MTAは成功率を高めるが、失敗する時はする

どの歯科医師も歯髄の保存ができるように最善を尽くしますが、経過が悪いこともあります。

歯髄部分にむし歯が残っていた。

歯髄を塞ぐ部分に隙間があり、そこからむし歯菌が流入した。

こういった理由で症状が発生してしまいます。

できるだけ削らないことを意識しすぎる余り、むし歯を残してしまうという本末転倒が起こる場合もあります。

今はマイクロスコープによってむし歯を確認しながら削ることができるようになったので、成功率は上昇しています。

またラバーダムも当然使っているはずです。

しかし、100%の実績が出るわけではないので、どうせ抜髄するくらいなら一縷望みを託すつもりで望むのがいいでしょう。

予想よりむし歯が広がっていたら結局抜髄処置になってしまうので、根管治療が必要になります。

 

 

ニッケルチタンファイル NiTiファイル

2014-10-21

ニッケルチタンファイル(NITIファイル)を使った根管治療

従来の根管治療はステンレスファイルを使って根管を形成していくとステンレスファイルに柔軟性が少ないため、

直線的な根管形成しかできませんでした。

そのため天然歯の根管が細かく湾曲していると、ファイルを通すことが出来ず歯髄が残ってしまうということが発生していました。

しかし、ニッケルチタンファイルを利用することによって湾曲に沿って治療を行うことが出来るので精度が高く、しかも根尖部まで

治療が可能になりました。

また、電動式のエンジンを備えることが可能で今まで手動で全て行ってきた場合よりも歯科医師の負担が少なく正確に短時間で

治療をすることが可能になりました。

 

電動注射器のように痛みを極小にすることが可能なように電動化することで歯科医師も患者も恩恵を受けられますが、ニッケル

チタンファイルに関しては患者側で恩恵を感じ取ることができない仕様です。

なぜなら、治療中にニッケルチタンファイルかステンレスファイルかリーマーかなどの区別が器具を見てつくことはないだろうし

(歯科助手さんでも慣れてないとわからない)使われた器具によって『おぉ、流石ニッケルチタンファイルは違う!』といった感

じで削られ方の違いが分かることもありません。ただ、ステンレスファイルであると歯の削る部位によって3本は使っていたとこ

ろを1本で済むことが利点です。

はい、患者側にはまったくどうでもいい話です。

 

しかし、歯科医師側の利便性があがるということは歯科医院の治療環境が向上するわけですから患者側からしても治療精度

にプラスワンで嬉しいわけです。今まで手動で一生懸命削っていたのがある程度電動になった場合その簡便さは得がたいも

のになるはずです。

もちろんそれが根管治療の成功に直結しているわけではありませんが、歯髄の除去や根管の形成といった一番の難所がある

程度治療し易くなるのであれば、成功率は高まるでしょう。

 

基本的に根管治療は失敗する要素が多く含まれているので、少しでも成功する要因は増やしておきたいところです。

器具がいいものを扱っているから腕も良い、とは限りませんが、腕を持っていて設備も揃っているというであればそこの医院に

治療をお願いしたくなるでしょう。

ただ、設備・器具、それこそファイルのような専門器具を扱っていることまで紹介する医院は稀です。HPなどを調べた時は載

っていなかったけど実は使っていたなんてことも歯科医院ではよくあることです。

 

ニッケルチタンファイルは日本での導入はまだまだ少ないようです。

ですが効能が明らかに認められているのでこれから導入していく医院や、新規開業医院が初めから導入しているという状態

が増えていくはずです。

 

HPなどで歯科医院さんを検索しても使っている器具まで細かく記載している医院さんはなかなかありません。CTやレーザー

などの非常に高価な設備は載せていますが、細かい医療器具までは載せていません。

普通の患者さんはあまり尋ねませんが、時々こういったことまで質問される方もいるようです。

歯科医師側としてもこういった質問に答えるのはやぶさかではないようですが、変に偏った知識があると方だと『知っているこ

とと違うからこの歯科医師は駄目だ』といったように先入観で否定されてしまうことも起こりえます。

もし、HPで調べたことが気になって歯科医院にそれを尋ねるのであれば、ある程度のバックボーンを説明してから尋ねるの

が吉です。

器具があると歯科医師にとって便利であることは確かですが、無いと極端に成功率が下がるということはありません。別の器具

を使って治療をするだけなので、まったく問題は無いわけです。ですので、根管治療をしてもらうことになっても先生に『ニッケ

ルチタンファイルを使ってますか?』という質問は避けたほうがよいです。使っていても、使っていなくとも『だから?』という風

になってしまいます。

 

あくまで、こういった器具があると知っておくことに留めておき、何かしらの話題で先生と話が弾んだら触れるくらいにしておい

たほうがいいでしょう。間違っても使ってないから駄目だなどとは言わないように。

MTAセメントは価格が高い

2014-09-03

MTAセメントの価格

治療にかかる費用は1万2千~1万5千円くらいが相場です。

1万円で治療してくれると、ほぼ原価です。

MTAセメントの1gの単価が高いので良いお値段になります。

販売元のサイトのカタログがこちらです(通常まず歯科医院とその関連しか見ない)。

https://www.ssl-system5.com/~dentsply-sankin/imgdata/item/MTACatalog.pdf

海外からの輸入品なのです。

こちらを見れば費用がどれだけかかるか推測はできると思います。

 

 

 

MTAセメントとは

水硬性の強アルカリ性の物質でできています。

MTAセメントのメリット

①強力な殺菌作用

MTAセメントはPH12(PH7で水などの中性それより高いとアルカリ性)の強いアルカリ性で通常PH9.5においてほとんどの菌は死滅するので強力な殺菌作用を持っています。

②組織刺激により硬化作用

主に歯の中に孔が空いていた場合にそこを埋める必要がある時、今までのセメントでは血液や組織液で上手く接着しませんでしたが水硬性であるためしっかりと孔を埋めることができます。

よってパーフォレーションなどが発生している場合に最適です。

根管治療が失敗した場合などに起こる穿孔を埋めるのに活躍しています。

③封鎖性

硬化する際に膨張するので隙間無く緊密に埋めることができるので、細菌が侵入する隙間がなくなります。

④神経を抜くケースを回避できる

むし歯が進行すると、歯髄(神経)を抜かなければならないケースにあっても、MTAセメントを利用することで神経を全て抜くことなくむし歯の治療ができる。

MTAセメントのデメリット

①値段が高い

1グラム1万円以上の値段のため治療費が高い。また保険適用ではないためその歯の治療を全て自費で負担しなければなりません。例えば、歯の治療に保険であれば3000円(自費だと1万円)で済んだはずの歯の治療費が、(歯の治療費)1万円+(MTAセメントの費用)1万円=2万円などになります。

②歯が痛む、しみる

歯髄(神経)で処置を行っているので神経が過敏になっています。

麻酔が切れた後は痛みやしみを感じます。

しかし、歯髄が回復していくと徐々に感じなくなっていきます。

 

使っている医院が限られている

保険適用ではないので、治療費が高くなってしまいます。

加えまだまだ広まっていないので日本国内で使用している歯科医院は少ないため国内の認知度と症例は非常に少ないです。

海外では10年以上に渡って使われ症例を重ねているので、日本国内でしか使われていない方法に比べて効果のほどは高いと考えられます。

ただし、活性化している歯髄があることが条件なので、神経がほとんどむし歯菌に侵されている場合は使えません。そういった意味で根管治療全般に使えるものではないという認識を持つ必要があります。

マイクロスコープ

2014-09-02

マイクロスコープを使った治療の違い

結局のところマイクロスコープを使わなかった場合と使った場合ではどちらがいいのか?

答えは使った方が良いです。

その理由は歯の細かい部分までしっかり見えるからです。

過去の根管治療

今までの根管治療では歯の奥がどうなっているかは見えないから、手探りで治療を進めていくしかありませんでした。そのためリーマーが余計な部分を貫通させて二次災害を引き起こしたり、患部がしっかり取れていなくて蓋をしてしまい、予後にそこから細菌が繁殖し再根管治療にといったように、歯科医師とはいえ神ではないから見えないものは憶測で判断するしかありません。見えない中で作業をするなら過ちを犯すかもしれない。ただ、患部が見えているならこういったことはないのです。

通常のむし歯治療

これは根管治療だけでなく通常の治療でも言えることです。通常の治療でも角度や歯の位置によってはむし歯が見えにくいことがあります。歯科用のミラーを使い確認しながら治療をするわけですが、もしこれが見えないまま治療をするのであれば難易度は格段に上がります。ある程度目で確認することができるからむし歯の治療が成功します。

むし歯が残っているかどうかわかる

根管治療は奥がどうなっているのかは目視することはできませんので、むし歯がほんとうに全部取り除けたか見えないというのは大きいです。どれだけやればキレイに取れるのか分からないので終わりが見えません。しかし、マイクロスコープを使えば奥まで見ることが出来るので治療が完了したかどうかわかります。それでも見えない部分はありますが、マイクロスコープを使わないよりは使ったほうが良く見えることに変わりありません。

むし歯が残っていないことを確認しているので成功率が上がる

根管治療の失敗の原因として感染源を全て取り除けておらず、蓋をしてしまうので中で菌が増殖してしまうことが挙げられます。薬剤による殺菌も行われますが、むし歯を除去し切れていないと増殖してしまいます。しかし、しっかりとむし歯が除去できていることが確認できれば、蓋をして処置をすれば長い経過観察を経て成功といえることが出来ます。マイクロスコープは使うことによって直接むし歯菌をどうこうするものではありませんが、処置の精度を間違いなく向上させます。

保険で利用できるマイクロスコープ

日本では、まだまだマイクロスコープを取り入れている歯科医院は多くないですが着実にマイクロスコープを設置する医院は増えてきています。医院によっては通常の治療にもマイクロスコープを使いきめ細かい治療を提供する医院もあります。保険でマイクロスコープを使うことができる医院では、マイクロスコープを使うことによる追加の費用を患者さんが負担することはありません。つまり、保険で治療を受けることのできる全ての医院と同じ値段で治療を受けることができます。マイクロスコープを使うから治療の技術が高いわけではありません。使わなくとも、マイクロスコープを使う医院よりも高い治療技術を提供する医院も当然存在します。

削る部分を最小限にする

多くの歯科医院でむし歯を削ることは最小限にしているとアピールする医院があります。むし歯治療は土建に近い部分もあり、むし歯をドリルでガリガリ削ります。むし歯で無い部分も、むし歯を削るために削って、むし歯を削ります。しかし、目視で本当に必要な分だけのむし歯を削れるかというと際どい部分があります。しかし、細かい部分まで拡大してみることができるのであれば、そこだけ削るというのも不可能ではないでしょう。

現状のマイクロスコープの利用

決して安い機器ではありませんので、利用に際して自費診療をお願いしている医院が多いです。特に効果を発揮する根管治療専門の歯科医院さんではマイクロスコープの利用を自費で行っている医院が多いです。しかし、マイクロスコープの利用率が高まり、歯科治療での必要性が高まれば保険点数にマイクロスコープの利用が計上される可能性もありますから、今後爆発的に普及する可能性はあります。マイクロスコープの利用による治療の素晴らしさは患者には実感できませんが、マイクロスコープ無しで治療をしてきた先生は利用することのメリットを実感していると思います。また、マイクロスコープを利用することの治療があたりまえの歯科医師は無しで治療を考えることはないでしょう。

歯医者さんを選ぶ際、技術をHPで判断することは不可能ですが、使用する機器を確認することは出来ます。道具が優秀でも、治療する方の技術が低ければ意味がありませんが、少なくとも最新の機器が無い医院よりはある医院のほうが安心できます。もし、お近くの歯科医院やかかりつけの医院でマイクロスコープを使われている医院があるのであればラッキーだと思えばいいでしょう。実際問題いちいちこれはマイクロスコープですと、説明して機器を使う先生はいませんから存在を知らないと『なんか使ってるな』くらいにしか思わないかもしれません。

ラバーダム

2014-09-01

・ラバーダムについて

ラバー(rubber)はゴムを意味していることはほとんどの人が知っていると思います。 ではダム(dam)はどうでしょう? よく聞くダムと言えば水を貯めておくダムです。 ダムは水をせき止めています。 ではラバーダムは? ゴムでせき止めているのです。患部への細菌の流入を。 ラバーダムとはゴムでせき止めるものという意味なのです。 言葉が持つ意味通りならば治療に必要です。

・根管治療の成功率をあげる

施術者の技術や経験はもちろんですが、使う器具によっても成功率は変化します。 その最たるものがラバーダムです。 ラバーダムを使う使わないが根管治療の成功率に影響を及ぼします。

・素材、使われ方

ラバーダムはゴム製のマスクです。 患部の歯以外を全て覆い、治療中にぽっかり開いている根まで通じている穴に唾液(ものすごい多くの細菌、むし歯菌を含む)が入らないようにするための道具になります。折角キレイに感染源を除いたとしても、新しく菌が入ってきてしまうのでは意味がありません。ですのでラバーダムをしているかいないかで成功率は異なってきます。

・保険で利用できるラバーダム

今現在ではラバーダムは保険適用から外れています。当然保険の適用から外れているということは使用するのであれば自費診療になります。 政府の保険と自費の混合診療を防ぐ政策により、自費を利用した場合は保険で診療する部分も全て自費扱いになるという原則からするとラバーダムの使用はそのまま全ての治療が自費になることを意味していました。 しかし、保険でラバーダムが利用できないかと言うとそうではありません。保険の包括利用ということで行っている医院さんはあります。ただし、それでも採算性が低いので、歯科医院としては正直使うメリットが少ないのです。 もし、保険でラバーダムを使っている医院があるとしたら相当良心的な医院です。

・自費利用の根管治療しか使えない

今の歯科医院は保険に見切りをつけるところが増えています、保険診療もやっているけど自費を伸ばしたいというのが多くの歯科医院の本音として存在しており、歯科医院の経営として安定しているところの多くは自費の需要が高いのです。今後保険が圧迫されるとラバーダムは完全に自費専用となり、ラバーダムの有用性をHPなどで大きくアピールできる医院に自然と患者が集まり、その他は淘汰されていくでしょう。その結果二極化が進むのは間違いありません。歯科だけでなく、医療の世界は身内が多く、医師の9割は身内で固まっています。多くの医院は地域に地盤を持っており、町のお医者さんとして地域に根ざしていました。顔見知りの患者が多く、医師は患者に感謝される存在として親しまれていました。そんな親を見て育っていた子供が2世3世として町のお医者さんを目指すことが多かったのですが、医療費の圧迫は医院の経営に大きなダメージを与えており、町のお医者さんの存在を許さない状況を作り出してしまいました。駅前などの大規模な医院やインターネットの発達もそれを支える形となり、富めるものに富が集中する形となり、保険を中心としてきた医院は次々と姿を消しています。 こういった現状があるという中で歯科医院を探さなければならないのです。 もしかかりつけの医院があるのならば、その医院がどういう経営なのかを気にしてみてもいいかもしれません。

 

ラバーダムは全ての治療に使った方が良い

保険適用ではなくなったために、ラバーダムはほとんどの医院で出番が少なくなりました。

神経まで到達していないむし歯の治療は目視で見えるため一度で歯を削り詰めてしまいます。

この過程でむし歯菌が患部に入らないことが重要になります。

歯の表面、エナメル質は硬く、むし歯菌が多少ついたとしてもすぐにむし歯が進むことはありません。

しかし、歯の内部になると表面ほど硬さはなく、歯の神経部分まで行くと表面に比べ柔らかくなってしまいます。

通常歯の内部は表面の固い歯に守られているのでここが直接むし歯菌に侵されることはありません。

ただ、治療をするために歯に穴を開けると内部までむし歯菌が浸透する可能性があります。

例えば治療の途中、舌で患部がどうなっているのか確認するために触ってみるということをするとむし歯菌を削って患部を綺麗にしたのに菌が残ってしま

い患部を詰めてしまうと歯の中の菌に対する耐性よりもむし歯菌の活動力の方が高い場合はむし歯が発生してしまいます。

これがラバーダムを使った場合だと、患部以外を全てゴムで覆ってしまうのでだ液などが患部に入る余地が無いので、むし歯が再発するリスクは下がりま

す。

通常の治療でラバーダムを使わないのは、使わなくとも内部でむし歯菌が増殖する可能性が低いためです。

神経を抜いた歯にかんしては、髄液に含まれる白血球などの菌に対する免疫が働かなくなるので、むし歯菌が混入すると増殖してしまうリスクが高くな

るのです。

なので、根管治療に関しては特に注意を払ってむし歯菌が混入しないようにラバーダムを使うべきだといわれています。

もちろん、むし歯菌を削った後に歯の中を殺菌してから詰め物を入れていくのですが、再発の可能性をさげるという観点からは間違いなくラバーダム

必要といえます。

ちなみに、アメリカの根管治療ではラバーダムを使わないと訴えられて敗訴することもあります。

それくらいラバーダムは重要といえるのです。

 

歯科大学では使うように習っていないのか?

ラバーダムが大事ならなぜ使うようにしないのか、必要性を知った患者さんが浮べる疑問としては当然です。

ひょっとしたら大学で勉強してこなかったのでは?

国が保険適用から外そうとしたということは、大学でも教えていないんじゃ?

そういった考えを持ってしまってもしかたないと思います。

教育の現場ではしっかりとラバーダムの重要性と必要性を教えています。

しかしながら、実際歯科医師として歯科医院に勤務した時に、ラバーダムを現場で使っているかどうかは医院によります。

独立開業する歯科医師の先生方は、自分が勤務した医院のやり方を継承していく傾向があります。

というよりも、それしかやり方を知らないといったほうが正しいです。

つまり、独立するまでにラバーダムをそれなりに使用する環境の職場に勤めていないと、重要性を知りつつも使わないのが当たり前になってしまうの

で、結局自分が医院を開いても使わないという状態になってしまうのです。

 

根管治療にしか使わない現状

上記の状態にあるため、ラバーダムを使った治療の経験が不足していると使うことへの抵抗感もあり意識から除外されます。

しかし、根管治療ともなってくると、成功率の低さから失敗しないようにラバーダムに意識が向かうようになります。

ほとんどの患者さんは保険で治療をするし、ラバーダムの必要性どころか存在すら知らないので使わずに根管治療をされたとしても気づきません。

医院側もひょっとしたら使うかどうか聞くかもしれませんが積極的には勧めないかもしれません。

そうすると自費治療を推し進めている医院ばかりがラバーダムの経験が高まるという一極集中状態になってしまいます。

保険料が上がっていくにしたがって自費の割合も増える可能性がありますが、まだまだ患者さんは保険に頼っています。

その中で歯科医院がどれだけ患者さんの希望にあわせて治療をしていけるか、というところにかかってくるのだと思います。

Copyright(c) 2014 根管治療について