顎関節症だと口が開かなくなる?TCHが関係している?

開いた顎イラスト

TCHの状態(右図)

いつもとは川岸を変えた話題を書こうと思います。

顎関節症という言葉は聞いたことがあっても、診断された人や治療を受けた人でないと馴染みは薄いと思います。

まず、顎(がく)が読めない可能性が高いです。

私も最初は”あご”とそのまま読んでいました。

顎になんらかの原因で異常が発生して顎が外れて元に戻らなかったり、口が開いたまま閉じることができなくなる。

こういった深刻な状態を引き起こす可能性があります。

 

顎関節症の対象者は想像以上に多い?

国民の8割が羅患していると言われる歯周病ほどではないにしろ、およそ2割程度が顎関節症を患っていると予測されています。

歯周病は自分では気づくことが難しいことがネックですが、顎関節症も指摘されて始めて気づくことが多いです。

顎が成長する12歳頃から発症する人が多く、大きく口を開いたりする際に耳の近くの顎の関節が外れてしまうなどのケースが多いです。

ほんの少しの違和感や元に戻そうと顎を動かしたらはまることが多く、痛みを伴わなかったりするので

『そういうこともあるか』

くらいに考える人が大半です。

実際は顎関節症が起こっていても、耐え切れない痛みや口が閉じれない、顎が外れたけどどうしても元に戻らないなどの状態にならないと

病気だと気づかないことが大半です。

よって症状は出ているものの大したことではないと誰にも話さないでいて、数年後に大きな症状が出てヤバイ!

こうなってから歯科医院に行くケースがまま、見受けられます。

その際も、症状が軽かった時のことは当たり前に起こっていることで突然顎が外れた、口が開かなくなったと説明されるようです。

 

患者数は女性の方が多い

明確な理由は分かっていませんが、女性の方が痛みを感じやすかったり、顎の筋力が弱いということが関係していると考えられています。

どちらかというと、女性の方が症状を敏感に感じ取れるので気づきやすいだけなのかもしれません。

男性も同じくらい羅患しており、単に深刻な症状以外放置しているだけかもしれません。

骨格や筋力が男女で異なるので羅患する割合も変化するでしょうが、まだ相関関係はハッキリとはしていません。

 

顎関節症にかかる原因

顎関節症はひとつの要因だけで説明するのが難しいため、複数の要因が積み重なった結果症状が起こっていると考えられています。

症状に多大な影響を及ぼしていると思われる要因を特定することが大切に成ります。

例えば歯並びが主たる原因であれば歯並びを治せば顎関節症が治ります。

夜中の歯ぎしりが原因であれば歯ぎしりを改善することで治ることもあります。

複数の要因が積み重なって発生しているので、ひとつの要素を解決しても直らない場合があります。

そのため顎関節症にかかった場合主たる原因を特定することが大切になってきます。

 

TCHの改善による歯ぎしりと顎関節症の改善

TCHとは上下の歯の接触する癖です。

上下の歯の接触というと、歯ぎしりや食いしばりがイメージできると思います。

これは歯に強力な圧力がかかっているので悪い癖といえます。

では上下の歯が接触する程度はどうでしょうか?

通常、人間の体は自然な体勢を維持すると上下の歯は接触することなく2~3mmほど隙間が空いた状態になります。

ここに緊張やストレスで歯に力が入り接触した場合はどうでしょうか?

食事や会話で歯と歯が触れ合うことはまったく問題ないですが、この上下の接触状態が1日20分以上続くと頬の筋肉に力が入りすぎて疲労します。

こういった日中の日常の癖を改善することで歯ぎしりや顎関節症改善しようとしているのです。

 

TCHを改善したら、顎関節症が治った?!

TCHの改善は、東京大学の顎関節部の木野准教授がリーダーを務め、年間2000人に及ぶ顎関節症患者を治療してきた過程での認知療法で

TCHを治した場合付随して歯ぎしりや顎関節症が改善した報告が上がってきました。

もちろんTCHであると顎関節症ではなく、あくまで要因のひとつとして挙げられるということです。

 

特に症状が無い人

TCHは生活習慣の1種なので、何も症状が出ていなければただの癖のひとつにしかすぎません。

ただし、良い習性ではないので改善できるなら試みたほうがいいです。

今は症状が出ていなくとも、今後出る可能性もあります。

TCHの改善が及ぼす効果はハッキリと明示されてはいません。

しかし、効果が実証されていくに従い有用な治療方法になることは疑いありません。

TCHのみならず、普段の生活習慣でついた悪い癖は様々な影響を歯だけでなく体に与えます。

こどもの頃に姿勢を正しくすることを習ったと思いますが、社会通念上の習慣として教えられた人が多いはずです。

しかし、悪い姿勢や癖が具体的にどういった悪影響を与えるかをきちんと伝えて正しい姿勢の重要さ説けばそうする理由が明確なのできちんと

する人が増えると考えられます。

一度身に付いた癖は直すのが難しいですし、理由がなければなかなか直せません。

体のことを考えて直さなければならないという必然性をしっかり説明できれば、世の中に広がる病気が減少し医療費の負担も軽減されるのではないかと思います。

TCHの改善は、様々な癖を改善することで健康に生活できる可能性を示してくれる試金石ともいえます。

 

TCHはパソコンやテレビを見ているとき、事務作業をしている時などに自然と起こっていることがあります。

自分自身ではなかなか気づけないため、意識しなければなりません。

ただ、常に意識しているのも日常に不都合があるため、TCHが起こりうる状況で目に付く範囲に注意を喚起する張り紙などをします。

ときどきその張り紙に目がいったときに歯の状態を意識してみて、歯が接触していたら改善するを繰り返すことで徐々にTCHが起きないようにし

ていきます。

この取り組みはTCHについて書かれている書籍を見ることで要旨はすぐに理解できるので、少ないコストで改善ができます。

もし、顎関節症の症状があり、TCHの改善で直るのであれば言うことなしです。

癖を直しても改善しない時に改めて顎関節症の専門家に相談するという流れでも問題ないでしょう。

ただ、TCHが効果が出ていないかどうかは正しく行えているかなど、素人判断になってしまうため成功しているのか確認が難しいことが難点で

す。しかし手軽に行えるメリットがあるので駄目元で行ってみてもいいでしょう。

また、歯科医院で顎関節症を直したい場合、顎関節症の専門家のからの意見を頂くことが重要です。

これは治療が上手いとか下手ではなく、顎関節症の専門医は原因を特定することに長けているからです。

もし、顎関節症が専門でない歯科医院だった場合、対処療法的に症状が治まるだけの治療をされてしまう可能性があるからです。

そうなると、一時症状が治まっても、根本の原因が解決していないので再び発症する可能性があるからです。

専門家はその辺りを熟知しているので原因の把握を先に心がけます。

治療をする際は専門家を頼ることが重要です。

ただし、専門家による治療は自費になる場合があるので、対価が高額になることを承知しておかねばなりません。

安く済ませたい場合はもちろん、専門家の意見だけを聞いて治療を別の医院でしてもらうことも可能ですが……。

ただ、歯科医院によって治療へのスタンスや見解が大きく異なることがあるので余所の見解で治療をしてもらえるかどうかは微妙なところです。

それならそこで治療すればいいのでは? と思われます。

顎関節症の全貌は完全には解明されていないので原因に明らかな確証がなければ手探りになります。

それを考慮したうえで、どのように歯科医師の意見や自分の状況と向き合っていくかが大切に成ります。

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