費用の分かれ目 自費と保険
根管治療は症状の重さによって非常に長い期間がかかります。具体的に何回の通院で終了するのか、ただ長引くことだけは確定している。こうなってくると費用が気にかかってくると思います。通院回数の増加=かかる金額の増加という考えは当然の帰結になります。
保険で診察する際の費用一例
保険診療による根管治療の費用
■保険について
歯医者さんは通院回数が増加することで医院の儲けが大きくなるとはいえません。なぜなら保険で治療する場合一本の歯に対する国が定めた価格(保険点数)は細かく決まっていて、これを全国各地の歯科医院さんの一存で勝手に変えることは出来ません。つまり、一つの歯にどれだけ長い期間をかけようが、短い期間で済ませてしまおうが歯医者さんが貰える金額に差はでないのです。もちろん、再診料にかかった薬剤費など上乗せはありますが、歯科医師や歯科助手、歯科衛生士がかけたコストcostを超えることはまずありません。患者さんが多めに払う費用は一回あたり千円未満、下手すれば四百円とかになります。こんなに儲からない治療はないと思います。
■保険のみで根管治療した費用
具体的な費用ですが、初診時に初診料と検査の費用などが合算されるので、3割負担の方で初回は3000円くらいになります。
銀歯を入れることを考えると、銀歯の大きさによって費用がかわってきますが3000円ほどになります。
順調ならば1歯6000円~7000円もしないくらいでしょう。
通院回数が増えると1回につき数百円ほどかかり、月を跨ぐと歯科疾患管理や衛生士指導などで1000円ほどの費用がかかります。
この辺りは歯科医院さんでやっているか、やっていないかで費用の差がでます。
保険の費用自体は何処も一律ですが、点数になることを多めにやっていた場合はその分だけ高くなります。
例えばクリーニングは本来予防(予防は本当は保険での申請は通らないのですが、多くの医院さんで医療行為として申請している状態です)が目的です。しかし、現実では治療の一環として行う必要があると歯科医師の先生が判断した場合は保険の扱いになります。
このあたりの匙加減が歯科医院毎に違うので保険でかかる金額は一緒ですが、医院さんによってかかるお金が変わるか変わらないかと聞かれると、こういった意味で違いはあります。
それでも1000円位で納まる範囲の違いです。それ以上だと、なんらかの自費になります。
重度の根管治療の場合、上記の金額に再診療費+αが回数分増えていくわけです。しかし、10回通院したとしても5000~6000円でしょう。総額であわせると窓口で支払う金額が1万円を超える計算になって患者さんとしては地味に高いですが、歯医者さんとしては人件費だけで完全に赤字でしょう。
保険による歯の治療は圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。ただ、その内容は各々の歯科医師の自助努力によって保たれています。不謹慎ですが、回数が増えるのを好まずに適当に処置してしまうこともまた可能なのです。
専門の医師が自由診療した場合の費用
■専門医にみてもらう
これは各々の歯科医院で設備も異なりますし使う器具や機材や立地条件も異なるので○○円とは言いにくいです。
ですがおおよその目安として5~7万円。また、支台やかぶせ物を自費にする場合さらに費用がかかります。比較的安い素材を使ったとしても3万円以上はかかってしまいます。オールセラミックなどを使うと10万以上ということもあります。
■メリット
とかく保険と比べ高い自費診療ですがメリットはなんといっても精度か高く、素材が優れている点でしょう。特に根管治療の場合、歯の内部を目視できないことが難易度を上げているわけですから、自費でマイクロスコープを使えるのであれば、明らかに精度は変わってくるはずです。また、歯科医院側の気合も違います。ほとんどの歯科医師の先生は保険だろうが、自費だろうが治療毎に最善を尽くします。とはいえ、医師も人の子ですから自費診療ともなると更に注意しようという気持ちが出ます。自費治療はクレームが発生しやすいというオマケを持っているので、クレームを何よりも嫌う歯科医師の先生としてはこれを避けるためにも気合を入れるからです。
歯科医師の心の持ちよう
予約しても、しなくても、歯科医院に行ったとき人が数人待っているというのはよく見る光景だと思います。歯科医師は常に時間に追われています。たまたま予約が空いていたりキャンセルが無い限り予定が詰まっています。保険診療はとにかく数を回して利益を出すしかないのですが、自由診療の場合数をこなす必要は無いので、ひとりの患者に時間をかけられます(自費ばかりの医院で忙しいところは別として)時間に余裕を持つことで精度は確実に高くなります。
治療期間
保険では何回も通院しなければならなかったケースも一度で全て治療を行うことが出来ます。これは保険を利用する際はこうしなさい、ああさいなさいと国に決められているからです。自費診療では保険を使わないので、国に決められた作法通りにする必要もありませんから、1度の通院で終わるケースもあるのです。ただし、むし歯があまり進行しておらず、膿を取り出したり薬剤による歯内の除菌で経過観察が必要ではない場合に限ります。
■保険と専門医の違い
保険と自費での大きな違いはやはり費用でしょう。その対価は高度な技術や惜しみなく注いだ労力といった目に見えない部分から、使用する素材や器具といった目に見えるものまで様々です。結果に差があるかどうかは患者側ではどうしても判断できないで、少しでも質の高い治療が受けたいと考えるのなら自費。信頼できて腕も確かという評判の医院を知っているのならば保険でも十分かもしれません。ただ、
成功率を少しでもあげたい!
誰もがこう思うはずです。
というより、わざわざお金と手間をかけるのですから、良い治療を受けたいと思うのは誰もが共通していると思います。
もし、これを見ている方が、健康の為に水道水ではなくミネラルウォーターを買っている。浄水器を使っている。
健康食品や加熱・加工された野菜果物ではなく生野菜果物を摂取しているなど、体のことを考えて生活しているのであれば、自費はその最たるものになります。
こういった健康に気を使っている人ほど自費での治療を選ぶべきでしょう。
もちろん費用との兼ね合いもあります。
日常生活の中で、体や歯は悪くならないと大事に扱わない、扱えないことが多々あります。そのために悪くなってしまったとも言えますが、折角体について考える機会を持ったわけですから、健康になるためにどういう労力や費用が自分のためになるのか考えてみるのもいいかもしれません。
費用対効果の高さ cost-effective
これを体に対してどれだけ突き詰められるかだと思います。
これを書いている私も詰め物は保険の銀歯を3本ほど20年近く使っていましたが、むし歯に関しては異常は発生しませんでした。流石にお役御免願ってセレックで大安売りしていたセラミックの詰め物を入れました。今では当時の歯科医院に本当に感謝しています(もう廃業して存在しませんが)。当時は地獄の痛みを味あわせてくれた怨嗟しかありませんでしたが……。
保険でも、しっかりと治療できれば問題はありません(金属アレルギーに関してはまったく別です)。
痛くても全然問題ありません。
要はしっかりとむし歯が除去されており、歯が長持ちするかどうかなのです。
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