医療を受けるときの2大受診方法
歯科だけでなく、個人、法人で行っている医療機関は各種健康保険を通しての治療か、全額を患者さんが負担して窓口で支払う自費診療の2通りの支払い方があります。事故など例外もありますが、個人の場合概ねこの2通りに集約されます。
保険での診療は皆さんだれもが受けたことがあります。こどもの頃にお医者さんにかかると支払いは親御是が行っているので余り意識していないでしょう。
診療による支払いが気になってくるのは高校生あたりから、特に支払いなどを全て個人でするようになる新社会人と大人の仲間に分類される大学生なんかが多いんじゃないかと思います。存在に気づいたのは中学生くらいでしたが、意識し始めたのは大学生時代。調べ始めたのは社会人になってからでした。
壮健であれば別に知っていなくてもいいのですが、家族全員が健康順風満帆ってことは有り得ないですから知っていても良いかもしれません。
ほとんどの病気(むし歯や歯周病も病気の一種)は加入している健康保険で保険診療(患者3割負担の場合 例えば10,000円の治療費がかかった時に患者さんが払うのは3,000円)を受けることが出来ます。これは国(や組合)に一定のお金を納めることで医療費を負担してもらうという仕組みです。自動車保険や生命保険のような契約者に面倒な手続きを強いることが無いことがメリットの一つです。
保険での治療があるのに自費診療があるのは
お国が保険を敷いているのになぜ自費(10割全額支払い)診療があるのでしょうか?
これは医療機関と保険が適用できる症例などに左右されるからです。
少し分かりづらいでしょうか。
医療機関も企業の一種と考えてください。
例えば個人が新しく医療機関を作る場合。
医療機関で働く人の給与や土地屋敷や光熱費や設備機材。これは国がおんぶにだっこで用意してくれるわけではありません。
銀行から借りて用意することが多いのです。
(歯科)医師は社会的に信用があるので、ある程度の担保で3000万くらいならば比較的楽に借りることができます(それでも最近は審査が厳しい)。
多くの医院は借財をしてスタートを切ります。完済に10年などの長い期間を見込んでいるのです。
しかも最初は知名度など皆無ですからお客さん(患者)が少ないです。(内覧会などにより初期の固定客GET方法もあり)
(歯科)医院によっては最初の半年はお客さんが毎月数人ということもざらにあります。
この間経費として人件費(衛生師や助手、受付など)だけでも毎月100万近くは勝手にでていきます。
この時期に本気で死にたくなる人も結構いるようです。
こうして少しづつ患者を増やしていき医院が安定するのは1年くらいかかります。
しかし、保険での診療は請求できる金額が決まっています。患者さんが1人くるといくら。これが絶対値としてでてしまう。
こうなると、治療でいつくるかわからない患者さんを当てにして医院を運営するのは綱渡りと言えます。
そこで、保険でなく自費というシステムが登場します。
値段が医院で勝手に決められる
自費はこれに尽きます。
保険での1人あたりの利益は動かしようがありませんので、いつくるかわからないお客さん頼りの運営になりますが、
自費は1人が幾ら払っても問題無いので利益は多くもできますし逆に少なくも出来ます。
例えば、同じような治療をするのに1人あたりの利益に5000円の差がでたとします。
これが10人積み重なれば5万、100人積み重なれば50万。
保険で診療しているところと自費で診療しているところで単純な利益だけでも大きくことなるのです。
もちろん上記のように単純ではありませんが、自費と保険で利益が段違いであることははっきりと言えます。
医院を運営している人も人間ですから、特に初期に大変な思い出経営をしていた人は尚更自費で診療を受けてくれる人はありがたく思うでしょう。
もちろん保険で治療を受けてくれる人も大切お客さんでしょうが、ありがたみは雲泥の差があります。
お金の話ばかりですが、医療として真面目な話もあります。
保険が適用できない治療もある
そもそもとして保険が適用できない病気や、良い治療方法があるけども、保険で認可(保険料はお国、といっても国民の税金から支払われているのですが保険が適用できるかどうかは国で細かく定めている)されていないので保険で診療することができない。
型どおりの病気ならいいのですが、世の中様々な病気があり、また体質によって同じ病気でも症状の出方が違いますし、同じ器官であっても個人でまったく構造が異なります。似たような治療はできても、人に合わせた治療というのは画一的にはやはり不可能です。
医療に市場の原理が働く
こうなってくると、治療する側がなんとか個人に合わせて治療するしかありません。そのために様々な知識や設備や技術が必要なのです。
そうすると多くのお客さん(患者)に対して有効な方法だけでなく、需要の少ない方法に特化する必要があります。それを用意するためにやはりお金や時間が必要になります。このための費用を国が補助してくれればいいのですが、国民の財源は限界というより帳簿上は破綻していますので、期待できません。ですので自前でなんとかします。その分の補填を仕方ないからお客さん(患者)にしてもらおうというのが自費の根本的な考え方です。
お客にしわ寄せが来ていますが、市場の原理が働いており今までの医療に比べ多少信頼感はあると思います。
ただ、保険と自費が混在した市場は保険のみで良心的にやっている人にとってはこの上なく不条理なシステムなので、駄目な医院だけでなく良い医院も一緒に淘汰してしまう欠陥があります。残るのは良心的に自費をする医院か、効率的に自費を出す医院か、儲けを優先して騙し騙し運営する医院か。
最後は淘汰されそうですが、大きい医院では普通にあることです。なぜなら、一生懸命良心的に治療をしてくれて失敗・成功した結果と、必要の無い治療や投薬をふんだんにつかい失敗・成功した結果の良し悪しを判断する能力が一般人には無いからです。独学でものすごい勉強をされている方もいますが、体系的に勉強してきた医師に適うことはありません。体の一部分の一分野では匹敵するかもしれませんが、薬理を合わせて総合的な判断ができるか? と言われると不可能です。
ですので客観的にみて必要とも不必要ともいえなくないな、という部分で水増しをする医院は結構あります。患者が指摘するケースは少ないですからね。
もちろん、やった方がいいから(一応効果が出るから保険的な意味合いで医者側が精神的に安心できる)増やしているパターンもあります。症状がこれだから絶対これ! というような判断ができる医師は少ないでしょう。あくまで可能性として高い症状を推定して対処しているだけですから。
自費は必要に迫られて設けているか、医院の経営として必要としているかで大きくその効果が分かれます。
これを判断することは非常に難しいです(というかどちらか一方なんて極端な医院はない)。いかに、医院が信用できるか、これに尽きるわけですから。
逆に言うと医院はお客さんをどれだけ信用させられるか、という題目に関わってくるのです。
自費による治療は良いこともありますが、大して良くない場合もあります。
ただ、お金がかかるということだけは事実なのです。
健康に支払うものが妥当かそうでないか、これが自費を受けるか受けないかの基準となりますが、個人によってこの価値観は大きく異なります。医院にとっても患者にとっても難しいことです。
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