ニッケルチタンファイル(NITIファイル)を使った根管治療

従来の根管治療はステンレスファイルを使って根管を形成していくとステンレスファイルに柔軟性が少ないため、

直線的な根管形成しかできませんでした。

そのため天然歯の根管が細かく湾曲していると、ファイルを通すことが出来ず歯髄が残ってしまうということが発生していました。

しかし、ニッケルチタンファイルを利用することによって湾曲に沿って治療を行うことが出来るので精度が高く、しかも根尖部まで

治療が可能になりました。

また、電動式のエンジンを備えることが可能で今まで手動で全て行ってきた場合よりも歯科医師の負担が少なく正確に短時間で

治療をすることが可能になりました。

 

電動注射器のように痛みを極小にすることが可能なように電動化することで歯科医師も患者も恩恵を受けられますが、ニッケル

チタンファイルに関しては患者側で恩恵を感じ取ることができない仕様です。

なぜなら、治療中にニッケルチタンファイルかステンレスファイルかリーマーかなどの区別が器具を見てつくことはないだろうし

(歯科助手さんでも慣れてないとわからない)使われた器具によって『おぉ、流石ニッケルチタンファイルは違う!』といった感

じで削られ方の違いが分かることもありません。ただ、ステンレスファイルであると歯の削る部位によって3本は使っていたとこ

ろを1本で済むことが利点です。

はい、患者側にはまったくどうでもいい話です。

 

しかし、歯科医師側の利便性があがるということは歯科医院の治療環境が向上するわけですから患者側からしても治療精度

にプラスワンで嬉しいわけです。今まで手動で一生懸命削っていたのがある程度電動になった場合その簡便さは得がたいも

のになるはずです。

もちろんそれが根管治療の成功に直結しているわけではありませんが、歯髄の除去や根管の形成といった一番の難所がある

程度治療し易くなるのであれば、成功率は高まるでしょう。

 

基本的に根管治療は失敗する要素が多く含まれているので、少しでも成功する要因は増やしておきたいところです。

器具がいいものを扱っているから腕も良い、とは限りませんが、腕を持っていて設備も揃っているというであればそこの医院に

治療をお願いしたくなるでしょう。

ただ、設備・器具、それこそファイルのような専門器具を扱っていることまで紹介する医院は稀です。HPなどを調べた時は載

っていなかったけど実は使っていたなんてことも歯科医院ではよくあることです。

 

ニッケルチタンファイルは日本での導入はまだまだ少ないようです。

ですが効能が明らかに認められているのでこれから導入していく医院や、新規開業医院が初めから導入しているという状態

が増えていくはずです。

 

HPなどで歯科医院さんを検索しても使っている器具まで細かく記載している医院さんはなかなかありません。CTやレーザー

などの非常に高価な設備は載せていますが、細かい医療器具までは載せていません。

普通の患者さんはあまり尋ねませんが、時々こういったことまで質問される方もいるようです。

歯科医師側としてもこういった質問に答えるのはやぶさかではないようですが、変に偏った知識があると方だと『知っているこ

とと違うからこの歯科医師は駄目だ』といったように先入観で否定されてしまうことも起こりえます。

もし、HPで調べたことが気になって歯科医院にそれを尋ねるのであれば、ある程度のバックボーンを説明してから尋ねるの

が吉です。

器具があると歯科医師にとって便利であることは確かですが、無いと極端に成功率が下がるということはありません。別の器具

を使って治療をするだけなので、まったく問題は無いわけです。ですので、根管治療をしてもらうことになっても先生に『ニッケ

ルチタンファイルを使ってますか?』という質問は避けたほうがよいです。使っていても、使っていなくとも『だから?』という風

になってしまいます。

 

あくまで、こういった器具があると知っておくことに留めておき、何かしらの話題で先生と話が弾んだら触れるくらいにしておい

たほうがいいでしょう。間違っても使ってないから駄目だなどとは言わないように。

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