必要な歯科素材
歯をある程度削る必要があると、そこを埋める素材が必要になってきます。
どのような素材をつかうのか、どのくらい大きさの補綴物にするのか、どのような種類の素材を使うのか?
そういう部分がクローズアップされます。
患者が選べるのは歯に被せる冠の素材です。
この素材の如何によって予後の成否が分かれることもあります。
成功と言える条件
成功とは歯の治療が無事に終わるだけでなく、二次カリエス、被せた補綴物の下でむし歯が発生しないことが成功の条件です。
その後の経過で3~4年異常がなければ成功と言って過言ではないでしょう。
もちろん、治療を受けた後のケアを正しくしなければいけません。
その後のケアが悪くてむし歯が再発した場合は一概に施術が悪かったとはいえません。
二次カリエス。むし歯の再発には大きく二つの原因があります。
むし歯が再発する原因
歯の中に菌が残留していた
これは歯科医師が患部の削り残しをしていた場合、歯の横側にむし歯が進行しており通常の目視では見えない位置にあるため放置されていた場合など、患部(細菌の塊)が歯の中に残っていたためそこから菌が増殖してしまったパターンです。
こうなるとどんなに良い素材で蓋をしたとしても、内部からどんどんむし歯が進行しているのでまったく意味はありません。
神経を抜く処置をしていた場合
痛みがないことがあり、まったく気づかずに生活してしまうため、歯の中で菌はどんどん増殖してしまいます。
菌はどんどん増殖し、膿の塊を作って膨れ上がります。
これが歯肉を圧迫し痛みを感じます。
神経を抜く処置をしていなかった場合
そのまま内部でむし歯が進行した場合確実に歯髄(神経)を侵食していくので激しい痛みに襲われます。
この場合は神経を抜く処置。根管治療が必要になりますが上記より酷い事態にはなりません。
補綴物の調子が悪くむし歯菌が歯の中に入り込む場合
歯の中は上手く処置できていたけども、かぶせものに不具合があった、もしくは発生した場合にむし歯菌が歯の中に入り込んでしまうことがあります。
この場合の多くのケースでは被せた後に冠との適合性が悪かったためむし歯が再発します。
成功率が高くなる良い素材と日本で言われてきた補綴物
主に日本の歯科医療で良いといわれてきたのは金合金素材。一般にゴールドと呼ばれている素材です。これは別に純金というわけではありません。
純金はあまりにも柔らかいため歯にかぶせる素材としては適しません。故に他の金属を混ぜることで実用に耐える硬度を保っています。
他の素材と違い噛むほどに形が歯に適合していくので隙間なくはまることで予後が良いといわれています。
本来であればこれが保険の標準となるはずでしたが、残念ながら今のメインは銀合金(パラジウム合金)といわれる素材が中心となっています。
こちらは硬度は高いのですが、その分成形に難がありぴったりはまったとしても、マイクロ・ナノレベルでの隙間は判別できません。
菌は非常に小さいですから僅かな隙間でも入り込んで増殖してしまいます。
あまりにも硬い素材ではこの隙間を埋めるように変形しないので、一見問題が無くともむし歯菌が侵入している可能性があります。
ただし、しっかり適合さえしていれば問題はありません。
諸説ある素材アマルガム
今現在の流行は金属を使わないオールセラミック素材の補綴物です。
非金属で耐久性もあることから生涯もつ素材として期待されています。
ただし、陶器であるため割れる・かけるなどのトラブルも発生しています。
問題が無ければ生涯使える素材ですが、ケースによっては上手く行かないこともあるようです。
若い世代の歯科医師はセラミックを推奨する傾向にありますが、経験年数の高い歯科医師ほどゴールドを推奨する傾向があります。
セラミックはまだまだ実績が薄いので今後さらなる技術の発達で良い素材になっていくのは間違いないですが、現場の信頼度はまちまちのようです。
その中でひときわ異彩を放つ素材があります。
アマルガム(水銀)です。
歴史は深く100年を越す来歴はありますが、日本でも公害が発生している通り水銀は神経に支障をきたす重金属です。
当然これを使うのであれば警戒してしかる素材になります。
しかし、これを使用してきたという歴史もあるので、ある程度の有用性は認められています。
問題は使用することで人体に害があるかないかです。
あるというのは簡単ですが、無いというのを証明するのは難しいです。
一説では無機水銀は有害性は薄いので大丈夫という論もあります。
日本ではほとんど駆逐されてしまいましたが、ひょっとしたら使用している医院もあるかもしれません。
時代に取り残されたと見るか、来歴を信じるか。
保険での治療を選択するのであればまったく悩む必要の無い選択肢ですが、もし歯科治療において様々な素材があり選ぶ気持ちがあるのであれば選択肢のひとつといえます。
個人的に素材を選ぶとしたら
何処に需要があるかわかりませんが、個人的に素材を選ぶとしたらオールセラミックを選択します。
生体親和性の高いチタンなど生体医療に用いられるような金属ならまだしも、イオン化しやすいような重金属を体に入れるのはかなりの抵抗があります。
歯科素材のせいで金属アレルギーになるかどうか、なった人がいるというのは身近に居ませんが、金属アレルギーの人の悲惨さは知っています。現代で金属アレルギーはかなり生活に支障をきたします。気持ちの面が強いとは思いますが、リスクになるのであれば回避したいのが本音です。
そういった意味ではアマルガムは問題外と言えます。
ただ、セラミック治療はメタルボンドという実績があり、ある程度の認められているものの、オールセラミックはまだまだベータ版という印象があります。
割れた欠けたでクレームになる事案もそれなりに聞くので、万全とは言いがたいです。もちろんそれらのクレームはゴールドだろうがなんだろうが起きるときは起きます。先生によってはたいした差が無いとまでいい切る方もいるくらいです。流石に性質や含有量が異なる物質がまるで差が無いなんてことはありえないとは思いますが、歯科医師ごとに素材の良し悪しが分かれているのも現状ということです。
ちょっとめずらしい歯科医師に、自分でインプラントの良さを確かめるために一般的に必要性が薄いといわれている歯を一本抜いてインプラントにした先生もいらっしゃいますが、素材の良さを知っていても自分が良いと実感しているわけではないので意見が割れているのだと思います。
正直健康な歯を抜くのは人体になにも影響がないのかと言われると絶対無いとは言い切れないと思います。髪や爪と違ってアルブミンとかでにょきにょき生えてくる部位ではないので抜けばそれなりの影響はあるはずです。
それでも自分で良いと思わなければ人に勧められないという酔狂な御仁もいるのです。
ただ、その方の説得力は確かなものだと思います。なんせ自分がやっているわけですから。
歯科素材で悩んだとしたら、医院で先生に直接歯科治療でなんの素材を使っているのか聞いてみるのもいいかもしれません。
少なくとも歯科医師でパラ(銀歯)を入れている人は聞いたことがありません。
保険で治療をすることが患者さんのためだと仰る先生は結構います。
しかし、その先生がゴールドで治療をしているということは良くあることです。
この場合の先生は、費用の面で保険で治療をするのが患者のためだと思い込んでいるケースです。
実際自費素材の費用は桁がひとつあがりますが、体のためにお金を使うのは、車や衣服などの装飾品や所有物に金銭をかけるよりも大事だと思います。
素材も大事ですが、歯科医師が大事
社会生活上身の回りの品はある程度のものは必要でしょうが、グレードを追い求めるのであればまず体にお金を使ってから、その後にグレードを追い求めるべきだと思います。
お金は後から手に入る可能性はありますが、一度害した健康は戻るかどうかはわかりません。
この損益分岐をどう考えるかは人によりますが、健康より大切なものはホント無いと言えます。
歯科素材が歯科治療の全てを決めるわけではないですが、かけられる金額が法外(数百万とか数千万)でないのであればかけれられる分はそうしたほうがよいと思います。
ただし、世の中明らかに怪しい歯科医院もあります。
自分の腕を殊更に自慢したり、他院を殊更貶めるような発言があったり、患者の生活を全て決めてくるようなカルト的な歯科医院だけは回避したほうがいいでしょう。
ちょっと考えれば十分可笑しいとわかるのですが、妙な説得力があるので雰囲気に呑まれて騙されてしまう人がいます。
例え腕が良くとも言動が明らかに可笑しい医院は避けましょう。
体を張って発掘をする必要はありません。
インターネットが発達して歯科医院にかんする風評を簡単に入手することができるようになりました。
人は悪いことは何倍にもして喧伝しますが、良いことはそうそう表に出しません。
ちょっとしたことでも悪く伝えられてしまうのが世の常なので少しくらいの悪い風評はどの医院にもつきものでしょう。
その中でも明らかに賛否両論をまきおこしている医院は様子を見たほうがいいでしょう。
賛否両論の場合いい可能性ももちろんありますが、悪い場合も多々あるからです。
一番無難なのはなんの評判も無い医院です。
これは少なくとも不満があろうともそれをインターネット上でさらそうというところまで不快な思いをしたという人がいないわけですから、それなりの腕や対応をしてくれることが期待できます。
もちろん人により受け取り方は千差万別ですから、誰もが良いと思う医院は存在しません。
ですがものさしの1つにはなると思います。
さんざん書いてきましたが、どんな下手な歯科医院であれ、治療しないよりはましです。
今むし歯があるのであれば、いくかどうかずっと悩むより、すぐに近くの歯科医院に駆け込むのが一番です。
とりあえず保険で、
directory | 2015.03.06 12:04
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