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マタニティ歯科(出産後)
前回、前々回に引き続き、根管治療とは少し離れた内容になっていますが、たまにはいいかと思います。
マタニティの意味は【妊婦・妊娠期間】と日本語では捉えられることが多いですが、英語圏では【妊婦のための】【母のための】【母性の】といった意味合いで使われます。なので出産後もしばらくはマタニティと銘打っていても問題ないのですね。
出産後の歯科への通院
これは妊娠中もそうでしたが、出産後に本格的に歯の治療をするためや、出産により脆くなった歯をケアするためにも歯科医院に通院することが望ましいでしょう。
昔からよく言われることとしては『ひとり産むと一本歯が抜ける』というくらい出産は体・歯に負担がかかります。
出産後~3歳までのこどもの口内環境について
妊娠中にむし歯の治療をせずに対処療法を行っていた方はもちろん、出産に至るまでにむし歯になってしまった方。産後の肥立ちが良くなったら歯科医院で治療してください。自身の歯のケアも大切ですが、なによりこどもの口内環境を良くしていく上でも自身のむし歯治療はかかせません。
■こどもの口内環境は3歳までに決まってしまう
むし歯の要因として
・食習慣
・歯磨きの習慣
・生活習慣(姿勢や睡眠など)
・常在菌に占めるむし歯菌の割合
が関わってきます。
これらは3歳までのうちに身についた習慣や考え方に大きく左右されますが『常在菌の割合』だけは後でどんなに変えようとしても変えることは出来ません。3歳までに形成された常在菌の割合はその後変化すことはないので、むし歯菌が限りなく少ない割合で常在菌が決定した場合、後からむし歯菌がお口の中に入ってきても他の常在菌がそれを追い出そうとします。こどもと触れ合う機会が一番多い母親のむし歯を治療することで、むし歯菌がこどもの口に入る機会を少なくし、むし歯菌が定着しないよう予防することができます。
大変な出産が終わり、息をつく間もなく育児が始まります。日常の生活を送るのに精一杯で、こどものことはしっかりするが自身の歯のケアは二の次になってしまわれる人もいらっしゃいます。最近ではどの歯科医院もキッズスペースを設けるところが多く、中には診療室にキッズスペースがあり、治療中も子供の様子が(そんな余裕があるかは別として)直に確認できる医院もあるので、安心して通院することができます。HPや電話で確認を取ってみましょう。
妊娠中(マタニティ)歯科
前回マタニティ歯科についてさわりを書いたので、今回はマタニティ歯科がなぜ必要とされているかについて書いていきたいと思います。
★マタニティ歯科が必要とされる理由
妊娠によって様々な体調の変化が現れます。歯科においては、唾液の量や性質・ホルモンバランスの変化などの影響によってむし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
そしてホルモンバランスの変化などにより『妊娠性歯周炎』となると、早産のリスクが約7倍になるとことが判明しています。
こういう知識を知っていても、自分自身に当てはめるとどうなのか? 知識だけではあて推量になり結局不安が拭えないで悩まれる方もいます。
ご自身だけで悩まずに、専門家に相談していただくことで心配事を少しでも減らすことが妊婦さんご本人だけでなく、産まれてくる赤ちゃんのお口の健康のためになります。このような理由でマタニティ歯科が全国の歯科医院で広がっているのです。
また、産まれてきた赤ちゃんの口内環境のケアを考えていく上ですぐに相談できる歯科医院があることで、育児について様々な悩みを抱えるお母さんのサポートをすることができます。幼少期の口内環境によってお子様がむし歯になりやすい・なりにくいが決まります。
★マタニティ歯科において妊婦さんが知っておきたいこと
妊娠中に知っておきたいこと、気になっていることがあると思います。よくある症状や医院に寄せられる妊婦さんから質問の多い事項をまとめました。
■妊娠中に発生する主な変化
・つわりなどで食事の回数が増える
・体がだるい・歯ブラシが気持ち悪くて歯をしっかり磨けない
・胃酸で歯が溶かされる
・ツバの性質が変わってしまう
・ホルモンバランスの変化
■妊娠中のことに関して医院に寄せられた主な質問と回答
Q.1妊娠中にむし歯や親知らずが痛くなったのですが、治療や抜歯ができますか?
A.1安定期(妊娠16週)において治療をすることは可能ですが、症状がひどくて我慢できない場合医師と良く相談するのがベストです。産婦人科の先生の所見を伝えていただければより的確にアドバイスが可能です。とにかく痛くて我慢できないときは、治療を優先してくれる歯科医師を探すしかありません。HPで治療できそうな医院を探し、電話でしっかり確認してから来院するといいでしょう。
Q.2歯の痛みを抑えるために不安に思いながらも痛み(化膿)止めの薬を服用しています。大丈夫でしょうか?
A.2歯科医院で妊娠について把握しており、安定期に入っていれば、基本的に影響はほとんどありません。
Q.3エックス線の撮影で赤ちゃんへの影響は大丈夫でしょうか?
A.3歯科でのエックス線撮影はお腹赤ちゃんから離れているので、ほぼ問題ありません。防護エプロン(鉛が入っておりかなり重い)をつけて撮影するので、影響はほとんど無いです。ちなみに鉛は透過率の高いガンマ線を遮蔽できる重金属です。
Q.4つわりがひどく、歯を磨くのが辛いです。口の中が気持ち悪いのですがどうしたら良いでしょうか?
A.4つわりが酷い時は無理に歯磨きをせず、うがいをして食べかすを残さないように気をつけましょう。唾液の分泌量の低下や女性ホルモンの変化で口の中が酸性になりやすくなっていますので、こまめにうがいをして、歯磨きができそうな時に歯を磨くようにしましょう。
Q.5詰め物に銀歯を使っているのですが大丈夫でしょうか?
A.5メタルフリーの素材と交換することが可能です。
マタニティ(妊婦)歯科における根管治療
マタニティ歯科について
近年全国で広まってきた、妊婦さんを対象とした妊娠中と出産後の歯科治療や口腔ケア、産まれてきた赤ちゃんがむし歯にならないため歯科医院が行っている診療のことです。マタニティ歯科が広がっている理由は、口内環境が妊婦さんや生まれてくる赤ちゃんに及ぼす影響が医学的に解明されてきたからです。そのため、産婦人科と歯科を含むような総合病院だけでなく、産婦人科と歯科医院が連携して対応することも増えてきました。
むし歯や歯周病に羅患していると、全身疾患に繋がります。
なぜなら、血流を通して細菌が全身を巡るからです。
健康であれば(肉体・精神的に)、体の免疫機構が働いて細菌を退治します。
しかし、妊娠のように心身両面に多大な負担がかかる状況に陥ると免疫力が低下します。
免疫ニートです。
こうなると、細菌は血流に乗って全身を巡り色々な悪さをするのです。
中でも妊婦さんに関係するのは早産。
詳細な因果関係は解明されていませんが、統計データとして歯周病でない方と健康な方では8倍もの差がでています。
(米国調べ)
妊婦の方はこういったことにも気を配らなければならないのです。
妊婦さんと歯科治療
妊婦さんに歯科治療を行う場合は、麻酔や薬剤を使うにしても胎児に影響が無いように歯科医院では分量・時期を考えて用います。とはいえ本当に影響がないとはいいきれません。根管治療が必要で痛みを訴えても治療をするかどうかは歯科医師の判断にかかって来ます。ほとんどの歯医者さんは治療をしないで必要最小限の痛み止めや化膿止めを処方するだけかもしれません。患者さんが本当に必死で痛みを訴えない限り治療はしないでしょう。なぜなら、もし赤ちゃんに何かが起こった時に、あの時の麻酔が……あの時の薬が……と言われた場合否定する材料が無いからです。ある意味、妊婦さんと同等に近いリスクを歯科医院では負っているといっても過言ではありません。
命と歯科医院としての生命ですから単純に比較することはできませんが、歯科医院としての生命が絶たれれば(大きな借財をして)今まで作り上げてきたものや、これからの生活を考えれば人生が半ば折れかかったといっていいでしょう。
それくら歯科医院は妊婦さんに気を使っていると考えて貰ってもいいのです。
逆にそういった気遣いがなく妊婦さんの治療を普通にやってしまう歯科医院があるとするならば、配慮が足りない可能性があります。
まず、治療をするにしても色々な状況を鑑みて計画・指導をしてくれる歯科医院さんを選ぶ必要があります。
男性歯科医師だとそのあたり疎い、というよりも、体験したことが無いはずなのでわかりにくいというのもあります。
必勝を求めるなら女医さんが担当してくれる医院を探すことです。
特に自身も出産を経験した方だと、歯科知識を持った経験者としてのアドバイスをしてくださるので受け入れやすいと思います。
このあたりはやはり、男性では気がまわらない可能性が高いので女医さんのいる医院を探して電話してみるといいかもしれません。
HP上で女医さんの存在を載せている医院は結構増えています。
そういった医院さんに電話をかけて、女医さんに担当してもらえるのか? などを尋ねるといいでしょう。
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根管治療
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マタニティ
歯科業界
痛くない治療
成功率を上げる道具
『成功率』の意味
根管治療における成功の定義
根管治療の要旨は
①.根管の中の感染源を除菌する (原因の除去)
②.再感染を防ぐ (再発の防止)
この2つを達成することになります。
①が未達成であるのに、感染を防ぐ処置をして歯に蓋をしたとしても、中に残った菌が増殖してむし歯が再発してしまいます。
①が達成できても、再感染を防ぐ処置が上手くいかなかった場合もむし歯が再発してしまい、再根管治療になってしまいます。
①も②も達成できない場合は明らかに失敗しています。
では、この2つを達成していつまで、どのくらいの期間症状が起こらなければ成功といえるのでしょうか?
成功と言えるまでの経過観察期間
根管治療をして死ぬまで何もおきなければそれは成功と誰もが言えると思います。
しかし、むし歯は治療を受けた受けないに関わらず発症します。
根管治療の予後が悪いから再根管治療になったのかどうかは、日頃のメンテナンスに大きく依存するので目安となる期間が必要になってきます。
歯科の業界ではこの目安として臨床時に3~4年の経過観察において症状の悪化がなければ成功としています。
根管治療の失敗はすぐにわかるのですが、『成功』に関しては長い観察期間を経なければわからないのです。
むし歯が再発した場合は、歯科医師の腕が疑われることが多いですが、長い経過観察を経ているのならば単に予防が拙いこともあります。
自費か保険か
根管治療は医師の技術の証
歯科医師の腕を見るには根管治療を見ろと言われるくらいですが、実際は歯科医師毎に得意とする治療(専門分野)があり、それを軸として色々な治療が満遍なく出来るようにしています。だから一概に根管治療ができたから腕がいい先生、できないから腕の悪い先生とは言い切れません。ただ、虫歯治療の行き着く先が根管治療であるならば根管治療に精通していた方が歯科医師としては望ましいはずです。
自費での治療を医師が望むわけ
ホームページを持っており、根管治療を専門にしていらっしゃる歯科医院さんでは、保険の治療と自費での高度な治療の両方を受け付けているところ。自費での治療を勧める歯科医院さんは、設備も整っており、腕に自信があり、何より自費で高度な診療をすることが患者さん自身の為だと考えているからだと思います。一生使っていく歯に対して自費での費用が高いか安いかは人によると思いますが、5万や10万といった金額を安い! と感じる方はそんなに多くはないと思います。また、金銭的に払うことが難しい方もいるかもしれません。そんな方のために、成功率が下がることは分かっていても『保険』という選択肢を残している医院さんは、忸怩たる思いで保険治療をしていると思います。明らかに成功率が下がるといって事前に患者さんに説明したとして、心ならずも経過が悪かった場合、歯科医師側としてはある程度『そうなってしまったか』という思いはあるでしょうが、患者側からすると事前に失敗する可能性が上がろうが下がろうが『失敗』でしかなく、腕が悪い歯科医師だったとしか思われないわけですから、歯科医師としても自費で確かな腕がある人ほど保険という選択肢は自分の首を絞める可能性が高いことを理解していると思います。
自費でしか診療しない歯科医院
保険と自費の狭間で揺れる歯科医院の中で、完全に保険を切り捨てている医院もあります。己の腕を十全に発揮できないことに悩まされる必要も設備や機器が十分に使えないジレンマも無い、歯科医師として純粋に治療に専念するだけなので精神的にも楽だと思います。それでも難しい治療であることに変わりが無いわけですから経過が悪いこともあるでしょう。全力を尽くした結果として患者さんに文句を言われたりするのは当然のことと納得できるので、歯科医師としてもより努力をしようと思えるはずです。患者側からしてみれば、高い費用を払って治療を受けたのに失敗じゃ儲け主義と言いたくもなるでしょう。
保険医の将来
しかし、こういった流れはお金のある人は高度な治療が受けられて、お金の無い人はほどほどの治療しか受けられないという世の摂理をこれ以上ないほど浮き彫りにしています。また、歯科医院の選別も行われており、消費税の値上げや保険治療に使う素材の高騰により保険治療は利益がほとんど出ない仕組みになっています。保険での治療を希望する患者さんは多くいるわけですから、保険で治療してくれて、腕が良い信頼できる歯科医院さんは多いほうがいいのは間違いありません。ですが、二極化が進んでいる歯科医院の現状として、あえて保険だけで診療をしていこうと考える若い先生はどんどん少なくなっています。町の歯医者さんを目指しているような院長先生でさえ自費は無視できないようになっているので、今後根管治療を保険で行う歯科医院さんはどんどん少なくなってゆくんじゃないかと思います。
根管治療と自費の被せ物
ちなみに、根管治療を行う場合むし歯が深く進行しているのでかぶせ物(クラウン)が必要になりますが、日本の保険診療の制度上自費で治療を行った場合、治療は自費、他は保険というような混合はできないので全てが自費。つまりかぶせ物も自費になります。歯科医院で先生の話を十分に聞いて、治療に10万くらいかかる。でも高い技術で良い治療が出来るならいいか、と思って治療をしたら、その後のかぶせもので更に10万くらいかかった。などというケースがあります。最近ではかぶせ物も自費になることを明記している歯科医院さんも増えてきましたが、現実として治療開始後にこういった説明が加わることがあります。
かぶせ物は銀歯なら安く済むだろうと考えていた方がいるかもしれませんが、実は銀歯は高いです。自費で銀歯を入れる人がどのくらいいるか不明ですが(というかメリットが何も無い)銀歯を自費で入れると金歯(ゴールド)の2/3~3/4くらいの価格だったりします。例えば金歯が3万するなら銀歯は2万といった具合に。歯科医師の先生はそれが分かっているから自費になるかぶせ物はゴールドやメタルボンド、最近ではセラミックをお勧めされるはずです。自費で銀歯ほどデメリット満載な選択は無いですから。なので、根管治療を自費で考えている方は、かぶせものの選択までしておかなければいけません。HPや先生の説明で治療にかかる費用だけでなく、かぶせ物にかかる費用まで、また、もし再治療が必要になった時の費用がどうなるのかもしっかり確認しなければなりません。自費の場合歯科医院側もトラブルを嫌いますから、普通は医院側で事前にしっかり対応するのですが、基本的に歯科医師の先生は経営人ではなく医療人であることが多いので、そういった費用の説明が患者さんにとってどれだけ必要か今ひとつ実感できていない先生もいます。なので、残念ながらそういった医院や先生に当たってしまった場合は治療が始まる前に根掘り葉掘り聞くことです。そのためにもある程度の歯科知識をつけなければなりません。
保険を選ぶにしろ、自費での治療を選ぶにしろ、よほど信頼している先生でなければ全てを委ねるのではなく常に疑問を持って分からない点や不明点をつまびらかにしていく必要があります。
面倒ではありますが誰かに任せっきりで成功も失敗も黙して受け入れる気がない、できそうにないのであれば、自分の体のためによりよい選択ができるように歯科知識をつけていくべきです。
治療に関する専門的な内容まで分かるほどの知識を得るのは大変ですが、治療の方針や値段が納得して受け入れられるくらいの予備知識を得るだけであればそれほど時間のかかることではないので、先生の仰っていることを把握できるくらいにはなっておくと安心して歯科医院に通うことができると思います。
歯科治療費が世界で比べても安い理由
安くて優秀か、安かろう悪かろうか
保険で国がカバーしているから、日本の制度が優れているから。そのように考えれば安くて質の高い治療を受けていると考えられるでしょう。しかし、世の歯科業界が自費治療に舵を切っている流れや他国の状況を考えるに、日本の根管治療は質が良いとは言えません。個々で見ていけばそうともいえないのでしょうが、根管治療が無理、難しいから抜歯に繋がっているケースが多いのではないでしょうか。そう考えると『保険治療』というのも考え物かもしれません。ただ、根管治療に及ばないレベルでの保険治療に関しては非常に優秀だと思えます。難易度が高い治療が他の治療と同じような値段でできる意味を掘り下げると歯科医院選びと自費の選択というのは患者側にとっても重要なのだと思います。
根管治療に関しては、安かろう悪かろうになってしまうのが実情なのだと思います。
ただ、そういった背景がある中でがんばっている歯医者さんも多いということです。
根管治療における欧米との費用の比較
米国の歯科治療は基本自費
歯科医療先進国のひとつである米国においては、保険が存在しませんので、歯科診療費は全て自費になります。欧米においては歯を綺麗に保つことはあたりまえのことで、例え治療をしっかりしていても銀歯が目立つようでは人として見下されるような扱いを受けます。特に日本人は銀歯での治療が多いので、アメリカ人の友人などができると『なんで銀歯なの?』と聞かれることもあります。そうして欧米と日本の審美感覚や世間一般常識のズレを知るのです。
根管治療が必要になった場合日本では保険治療だと3000~5000円で治療ができます(かぶせ物などの費用は除く)
対してアメリカでは1000ドル(約10万)もの費用がかかります。
アメリカが異常ではなく他の欧米諸国を見ても5万円は費用がかかります。
アジア諸国を見回してみても2万円はかかっています。
外科手術
根管治療ができないと言われたとき
根管治療が何らかの理由(例えば金属で塞がれていたり、歯根が複雑な場合)で行えない場合など、膿を取り出すのに手術が必要になります。
これは『歯根端切除術』と呼ばれ、歯肉を切開して直接膿の袋を除きます。その後、逆根管充填(通常歯の頭の側から充填するのに対して根の方から充填するから)を行い根管を形成し、保護膜で蓋をしてから歯肉を縫合します。
歯の上の方向から施術するのとは違い、膿の塊を直接取り出すことができるので何度も治療しなければならないということはありません。
時間も1時間から1時間半で済んでしまうので何度も何度も医院に通う必要はありません。
なので遠方の医院であっても日帰りで手術を受けるケースもあります。
事前にCTなどの検査が必要なのでメールや電話のやり取りが必要になりますが、片道数時間程度だったら隣県の歯科医院も選択肢に十分入ります。
ただし、予後が良くない症例が多いので術後は落ち着くまで様子を見ます。
専門家は非常に少ない
非常に難度の高い施術になるので、予後の経過が良くない患者さんも多くいるようです。専門としている医院も限られてくるので、経験や設備がしっかり整った医院でやることが望ましいです。保険適用で治療が行えますが、自費で成功率が上がるのならば迷わず自費部分も使っていただき施術することが重要です。ここまで至っている場合は、金銭で賄えるのならば間違いなく費用をかける場所です。これ以上ひどくならないためにも、確かな医院で高度な治療を受けましょう。見つけた医院が遠隔地でも1日で往復できるのならば行く価値はあります。
CTなど費用は高くなりますが、設備を用意するのに数千万かかっています。病院のCTのように億単位ではありませんが、それだけのコストをかけて治療に臨む必要がある程重要だと考えてください。
歯科医院と保険点数など
保険点数 1点=10円
さてこの保険点数ですが細かな決まりが目白押しで、歯科医師はそれに従いながら治療を行っています。決まった医療行為があり、それを行ったから10点などという具合です。よく、治療が長引いているのはわざと長引かせてお金儲けしているのでは? という話を聞きます。そういうこともあるかもしれません。しかし、歯科医療に限ってはかなりレアケースと言えます。なぜなら、1つの歯を治療して出る保険の点数が決まっているからです。1つの歯を何回治療したところで再診療費が入るだけでお金儲けという点では人件費で赤字といえます。ですので一般科歯においては治療をわざと長引かせるメリットは薄いといえます。
保険点数を決定する機関と所属派閥
保険点数は厚生労働省に連なる中央社会保険医療協議会(中医協)が決めており、20人体制の中、現行7名が診療側から出席している。この中で医師5名、歯科医師1名、薬剤師1名という配分になっており、圧倒的に歯科医師が不利なのです(薬剤師も立場が弱いが、ある程度医師とがっぷり四つ)。保険は結局国民の税金なので、財源は限られています。その中からそれぞれの医療費や薬剤の点数を決めるので、当然声が大きいほう有利なわけです。保険で収入が決まってしまう歯科医院や薬局は非常に不利な立場にいるわけです。
開業歯科もピンキリ
医療費は増加する一方ですので、抑制が働きます。こうなると保険に頼った経営はかなり苦しい状況に追い込まれます。実際開業した歯科医院の院長の年収が300万円(ゼロなどということも)などという医院もざらにあります。なぜなら、最初はお客さんが少ないことと、開業時に多額の借金を背負い込むからです。(皆さんが座る治療用のチェアーも500万とかするんですよ!)この中で従業員に支払う給与や光熱費、土地建物の家賃などを払い運転していける歯科医院はそう多くはありません。毎年1000件もの歯科医院が開業し毎年1000件もの歯科医院が潰れているような状況です。
医科と歯科
一昔前に研修医の給与の少なさがクローズアップされていましたが、今では研修医にも新卒大学生~新卒薬剤師なみの給与が出るようになりました。これは中医協参加の医師の配分や選出元が変化したことも大いに関係しています。今までは『開業医派閥>病院派閥』だったのが『病院派閥>開業医派閥』となったのです。もちろん7/20の中での話ですからその人数だけで決まっているわけではありませんが、大きな影響を与えているのは間違いありません。
歯科医院の状況は実はほとんど変わっていませんが、歯科医師の増加、保険治療による素材の高騰によって開業歯科医師は大変な状態に陥っています。市場の原理が強くなっている点で世の中の一般企業に近づいているといえますが、当然負の側面も現れます。自費治療を患者さんに選んでもらうためにあの手この手を使う医院の登場です。もちろん自費治療の方が保険治療よりも良い治療が行えることは間違いないので、信念をもって自費治療を推奨している医院が多いですが、一般の患者さんからしてみると『高いものを売られている』という考えしかできないわけです。なんせ違いが分からないからです。
健康とお金
レーシック手術が少し前に流行りましたが、眼科医が眼鏡をかけている時点で信頼性はいまひとつでした。例えレーシックが3万で受けられる! という医院があったとしても誰も受けないでしょう。例え安くても取り返しがつかない恐れが高い場合は二の足を踏みます。しかし、歯科治療になるとこの感覚を失う人が多いのです。というよりも感覚を持っていない。歯や健康も一度損なうと二度と元には戻らないのに、そこにお金を使わないのは不思議とも言えます。お金がないのであれば仕方が無いですが、趣味や衣類や装飾品にお金をかける余裕があるのなら歯や体に十分に使ってからその余りで自分の趣向にお金を使うべきなのです。
予防にお金を使う
歯科業界は昔と違って治療中心医療から予防中心医療に風向きを変えています。これは欧米諸国の歯科医療体制に近づいているといえます。健康であるために歯の維持が大事(そう思っていない歯科医師はいませんが)。歯科業界(世間)が正しい流れに向かおうとしていると言えます。もちろん、いつ来院するかわからない、来院したら医師が治療しなければならない患者よりも、同じ収入が得られていつ来院するか予測がつき、来院したら歯科衛生士が予防を行える患者を比べるのならば後者のほうが経営的に安定するのは間違いないという理由もあります。とはいえ予防の大切さを知る層が増えるほど、歯科医院に通い自分の体にお金をかける人が増えるのは望ましいことです。
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