保険点数 1点=10円

さてこの保険点数ですが細かな決まりが目白押しで、歯科医師はそれに従いながら治療を行っています。決まった医療行為があり、それを行ったから10点などという具合です。よく、治療が長引いているのはわざと長引かせてお金儲けしているのでは? という話を聞きます。そういうこともあるかもしれません。しかし、歯科医療に限ってはかなりレアケースと言えます。なぜなら、1つの歯を治療して出る保険の点数が決まっているからです。1つの歯を何回治療したところで再診療費が入るだけでお金儲けという点では人件費で赤字といえます。ですので一般科歯においては治療をわざと長引かせるメリットは薄いといえます。

保険点数を決定する機関と所属派閥

保険点数は厚生労働省に連なる中央社会保険医療協議会(中医協)が決めており、20人体制の中、現行7名が診療側から出席している。この中で医師5名、歯科医師1名、薬剤師1名という配分になっており、圧倒的に歯科医師が不利なのです(薬剤師も立場が弱いが、ある程度医師とがっぷり四つ)。保険は結局国民の税金なので、財源は限られています。その中からそれぞれの医療費や薬剤の点数を決めるので、当然声が大きいほう有利なわけです。保険で収入が決まってしまう歯科医院や薬局は非常に不利な立場にいるわけです。

開業歯科もピンキリ

医療費は増加する一方ですので、抑制が働きます。こうなると保険に頼った経営はかなり苦しい状況に追い込まれます。実際開業した歯科医院の院長の年収が300万円(ゼロなどということも)などという医院もざらにあります。なぜなら、最初はお客さんが少ないことと、開業時に多額の借金を背負い込むからです。(皆さんが座る治療用のチェアーも500万とかするんですよ!)この中で従業員に支払う給与や光熱費、土地建物の家賃などを払い運転していける歯科医院はそう多くはありません。毎年1000件もの歯科医院が開業し毎年1000件もの歯科医院が潰れているような状況です。

医科と歯科

一昔前に研修医の給与の少なさがクローズアップされていましたが、今では研修医にも新卒大学生~新卒薬剤師なみの給与が出るようになりました。これは中医協参加の医師の配分や選出元が変化したことも大いに関係しています。今までは『開業医派閥>病院派閥』だったのが『病院派閥>開業医派閥』となったのです。もちろん7/20の中での話ですからその人数だけで決まっているわけではありませんが、大きな影響を与えているのは間違いありません。

歯科医院の状況は実はほとんど変わっていませんが、歯科医師の増加、保険治療による素材の高騰によって開業歯科医師は大変な状態に陥っています。市場の原理が強くなっている点で世の中の一般企業に近づいているといえますが、当然負の側面も現れます。自費治療を患者さんに選んでもらうためにあの手この手を使う医院の登場です。もちろん自費治療の方が保険治療よりも良い治療が行えることは間違いないので、信念をもって自費治療を推奨している医院が多いですが、一般の患者さんからしてみると『高いものを売られている』という考えしかできないわけです。なんせ違いが分からないからです。

健康とお金

レーシック手術が少し前に流行りましたが、眼科医が眼鏡をかけている時点で信頼性はいまひとつでした。例えレーシックが3万で受けられる! という医院があったとしても誰も受けないでしょう。例え安くても取り返しがつかない恐れが高い場合は二の足を踏みます。しかし、歯科治療になるとこの感覚を失う人が多いのです。というよりも感覚を持っていない。歯や健康も一度損なうと二度と元には戻らないのに、そこにお金を使わないのは不思議とも言えます。お金がないのであれば仕方が無いですが、趣味や衣類や装飾品にお金をかける余裕があるのなら歯や体に十分に使ってからその余りで自分の趣向にお金を使うべきなのです。

予防にお金を使う

歯科業界は昔と違って治療中心医療から予防中心医療に風向きを変えています。これは欧米諸国の歯科医療体制に近づいているといえます。健康であるために歯の維持が大事(そう思っていない歯科医師はいませんが)。歯科業界(世間)が正しい流れに向かおうとしていると言えます。もちろん、いつ来院するかわからない、来院したら医師が治療しなければならない患者よりも、同じ収入が得られていつ来院するか予測がつき、来院したら歯科衛生士が予防を行える患者を比べるのならば後者のほうが経営的に安定するのは間違いないという理由もあります。とはいえ予防の大切さを知る層が増えるほど、歯科医院に通い自分の体にお金をかける人が増えるのは望ましいことです。

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