根管治療は医師の技術の証

歯科医師の腕を見るには根管治療を見ろと言われるくらいですが、実際は歯科医師毎に得意とする治療(専門分野)があり、それを軸として色々な治療が満遍なく出来るようにしています。だから一概に根管治療ができたから腕がいい先生、できないから腕の悪い先生とは言い切れません。ただ、虫歯治療の行き着く先が根管治療であるならば根管治療に精通していた方が歯科医師としては望ましいはずです。

 自費での治療を医師が望むわけ

ホームページを持っており、根管治療を専門にしていらっしゃる歯科医院さんでは、保険の治療と自費での高度な治療の両方を受け付けているところ。自費での治療を勧める歯科医院さんは、設備も整っており、腕に自信があり、何より自費で高度な診療をすることが患者さん自身の為だと考えているからだと思います。一生使っていく歯に対して自費での費用が高いか安いかは人によると思いますが、5万や10万といった金額を安い! と感じる方はそんなに多くはないと思います。また、金銭的に払うことが難しい方もいるかもしれません。そんな方のために、成功率が下がることは分かっていても『保険』という選択肢を残している医院さんは、忸怩たる思いで保険治療をしていると思います。明らかに成功率が下がるといって事前に患者さんに説明したとして、心ならずも経過が悪かった場合、歯科医師側としてはある程度『そうなってしまったか』という思いはあるでしょうが、患者側からすると事前に失敗する可能性が上がろうが下がろうが『失敗』でしかなく、腕が悪い歯科医師だったとしか思われないわけですから、歯科医師としても自費で確かな腕がある人ほど保険という選択肢は自分の首を絞める可能性が高いことを理解していると思います。

 自費でしか診療しない歯科医院

保険と自費の狭間で揺れる歯科医院の中で、完全に保険を切り捨てている医院もあります。己の腕を十全に発揮できないことに悩まされる必要も設備や機器が十分に使えないジレンマも無い、歯科医師として純粋に治療に専念するだけなので精神的にも楽だと思います。それでも難しい治療であることに変わりが無いわけですから経過が悪いこともあるでしょう。全力を尽くした結果として患者さんに文句を言われたりするのは当然のことと納得できるので、歯科医師としてもより努力をしようと思えるはずです。患者側からしてみれば、高い費用を払って治療を受けたのに失敗じゃ儲け主義と言いたくもなるでしょう。

 保険医の将来

しかし、こういった流れはお金のある人は高度な治療が受けられて、お金の無い人はほどほどの治療しか受けられないという世の摂理をこれ以上ないほど浮き彫りにしています。また、歯科医院の選別も行われており、消費税の値上げや保険治療に使う素材の高騰により保険治療は利益がほとんど出ない仕組みになっています。保険での治療を希望する患者さんは多くいるわけですから、保険で治療してくれて、腕が良い信頼できる歯科医院さんは多いほうがいいのは間違いありません。ですが、二極化が進んでいる歯科医院の現状として、あえて保険だけで診療をしていこうと考える若い先生はどんどん少なくなっています。町の歯医者さんを目指しているような院長先生でさえ自費は無視できないようになっているので、今後根管治療を保険で行う歯科医院さんはどんどん少なくなってゆくんじゃないかと思います。

 

 根管治療と自費の被せ物

ちなみに、根管治療を行う場合むし歯が深く進行しているのでかぶせ物(クラウン)が必要になりますが、日本の保険診療の制度上自費で治療を行った場合、治療は自費、他は保険というような混合はできないので全てが自費。つまりかぶせ物も自費になります。歯科医院で先生の話を十分に聞いて、治療に10万くらいかかる。でも高い技術で良い治療が出来るならいいか、と思って治療をしたら、その後のかぶせもので更に10万くらいかかった。などというケースがあります。最近ではかぶせ物も自費になることを明記している歯科医院さんも増えてきましたが、現実として治療開始後にこういった説明が加わることがあります。

かぶせ物は銀歯なら安く済むだろうと考えていた方がいるかもしれませんが、実は銀歯は高いです。自費で銀歯を入れる人がどのくらいいるか不明ですが(というかメリットが何も無い)銀歯を自費で入れると金歯(ゴールド)の2/3~3/4くらいの価格だったりします。例えば金歯が3万するなら銀歯は2万といった具合に。歯科医師の先生はそれが分かっているから自費になるかぶせ物はゴールドやメタルボンド、最近ではセラミックをお勧めされるはずです。自費で銀歯ほどデメリット満載な選択は無いですから。なので、根管治療を自費で考えている方は、かぶせものの選択までしておかなければいけません。HPや先生の説明で治療にかかる費用だけでなく、かぶせ物にかかる費用まで、また、もし再治療が必要になった時の費用がどうなるのかもしっかり確認しなければなりません。自費の場合歯科医院側もトラブルを嫌いますから、普通は医院側で事前にしっかり対応するのですが、基本的に歯科医師の先生は経営人ではなく医療人であることが多いので、そういった費用の説明が患者さんにとってどれだけ必要か今ひとつ実感できていない先生もいます。なので、残念ながらそういった医院や先生に当たってしまった場合は治療が始まる前に根掘り葉掘り聞くことです。そのためにもある程度の歯科知識をつけなければなりません。

 

保険を選ぶにしろ、自費での治療を選ぶにしろ、よほど信頼している先生でなければ全てを委ねるのではなく常に疑問を持って分からない点や不明点をつまびらかにしていく必要があります。

面倒ではありますが誰かに任せっきりで成功も失敗も黙して受け入れる気がない、できそうにないのであれば、自分の体のためによりよい選択ができるように歯科知識をつけていくべきです。

治療に関する専門的な内容まで分かるほどの知識を得るのは大変ですが、治療の方針や値段が納得して受け入れられるくらいの予備知識を得るだけであればそれほど時間のかかることではないので、先生の仰っていることを把握できるくらいにはなっておくと安心して歯科医院に通うことができると思います。

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